第43話
「俺、嘘つきました」
「………え?」
いつの間にか目の前に、あの男の人が立っていて。
「俺、本当はあなたのこと覚えてて。でも、俺なんかがあなたのこと覚えてたらいけないと思って」
「……」
何かを我慢しているような顔で、私に何かを伝えようとしている。
「だけどやっぱり、我慢できなかった」
彼の目線が私と同じ高さに降りてきた。
「今から俺が言うこと、聞き流してください」
「……」
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