第32話

「あの、私。誰かに喋るとかそう言うことしないので、大丈夫です」


「え?あ、ああ」



さっきの会話が聞かれたくないものだったんだと思ってそう言うと、目の前の人はまた困ったように笑って。



「助かります」



と言った。




全力疾走で火照っていた体はいつの間にか元に戻っていて、12月の冷たい風に少し身を震わせた。





「寒くないですか?」


「あ、大丈夫です………」

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