第4話

何か言っているのは判る。


何を言っているかは判らない。




ただ、このえっちい前髪を掻き上げたヘアスタイルをした赤ら顔は、今日から私の直属の上司である。それだけはわかる。





「え?どうし……というか、え?何?なんで」



「ふっ」




何で今笑われた?




「混乱しているようだな。こんらんしているときにすまない。しかし事態は非常だ」




あ、非常事態?




「俺の頭だけが正常だ。あんしんしたまえ。信じてよい、ゆるす」




いや、紅い目元を色っぽく上げて魅せたけど、異常でしょうが。



誰ですか貴方。


誰なんですか。




よた、と、ぼろ、が混ざった立ち姿の彼を心配して両手を前へ用意しておくと、それに気付いた彼が私の周囲を見渡して言葉を続けた。





「まあ、かけたまえよ、君」









何?



とりあえずちょう可愛いんですけど何?

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