飛んで火に入る夏の暴君
第1話
「“日も向けられず咲く”で日向咲」
「……」
「何」
「……あ、すみません、ちょっと」
薄暗い中、恐らく一般の人には見ただけじゃ理解もできないような通称卓と呼ばれる機器が立ち並ぶサブ――謂わばスタジオの“脳”で、音響機器を前に腰を下ろす、日も向けられず咲くらしい日向咲さんから距離を取った私は、後ろで壁に寄り掛かる白樺さんというおっちゃんに耳打ち。
「あの、中二病って何処で治せますか?」
「聴こえてるぞ」
「矢張り、精神」
「こっち来い」
「んー何処かな……」
「シロ」
「はい!」
「……白樺さんじゃない。「シロ」はお前だ」
「……。はい」
仕方ないと溜め息を吐いて日向咲さんの元へと戻る。
そのたった1秒後、寸分の狂いもなく拳骨を浴びせられてその場に悶え込んだ。
彼、日向咲さんと私の初対面である。
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