未定
第1話
『ずっと一緒にいたい。』
そんな声が聞こえてふと振り返った駅構内。
声の主は切り替わるサイレージ画面と共に流れる男ものの音声だった。
ふーん。
何も考えていない。
何も考えていなかったボクは自分の身体と同じくらい大きく重い荷物――ありったけの生きる為に必要最低限な荷物が入ったリュックを軽く揺らして元々見ていた方へ向き直る。
乗る新幹線の名前、これであってたかな。
・・・
「はいいらっしゃい。これからはもう『おかえり』ね?お名前は?」
「西園寺 純です」
「はい純くんねー」
ザワザワしている旅館のロビーのような空間。オレンジ色の光が空間を温かく、アットホームな感じに演出している。ボクは目の前の受付に座る気さくなおばちゃんが何か書いている間辺りをきょろ、と見渡した。
男の子のふざける声。
女の子のはしゃぐ声。
「あ、貴方よねシャワールームがついたお部屋希望だったのって」
「あー…、?」
そうだったっけと思いつつ、家族が勝手に何らかの計らいを手回ししたのかと思う。
取り敢えずこの荷物をリュックをどうにかしたくてこくりと頷いた。
目の前のおばちゃんはにこりと頷いて、ルームキーを差し出した。
「純ちゃんはご希望の105号室ね。はいいってらっしゃい。困ったことがあったら何でも聞いてくださいね、寮長もいるから」
「はい」
そう。
ボクは今日から、この古くなったらしい旅館を改装した“寮”に住む。
寮は写真では見ていたけど思っていたよりずっと綺麗だった。
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