キス足らけ

第1話

95140:00







「〝可愛い”子だな。〝ハハオヤ”は?」





うちであるアパートの鍵を開けようとしていた女の子の髪を夜風が攫った。





女の子は、その風の方へ視線を



月ではなく



緑の――…。





そうして数秒結んだままにしていた唇を薄く開く。





「もうすぐで帰って来るかと」





「チチオヤは?」

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