第14話

「人違い…です」




目の前ではっきりそう否定されたにも関わらず、私の心臓はバックンバックン既にと不可解なリズムで働きだしていた。



「ぇ…」



零れ落ちる声。人違いだと口にしたその青年は、ぎこちない動きで私が指したハーブティーのパックを手に取りレジへ直行。


店員がその後を追いかける。私は立ち尽くしたまま二人の背中を見送っていた。







そこでその日は終了するかと思われたのだが、終わらなかった。



数秒後、会計を済ませた青年は、立ち尽くしていた私の元へと戻ってきたのだ。




「あ、の…」



初めて正面で会って見えるお顔。


下地もファンデーションもなしでその陶器肌だなんて信じたくもないとぅるっとぅるなお肌。

じゃなくて。


何よりその声。




昔やっていたポケモ⚪︎のゲームにねむれみたいな技があって、それを選ぶとポケモ⚪︎は歌っていた。



それのリアル版とも称された(?)、その究極に聴き心地の良さが追求された天性の才能

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