第9話
惨めで恥ずかしくて、まだ誰にも吐き出せやしない。
…けど。
愛してやまない『さえずりさん』だけにはフられた翌日衝動のままお便りを送りつけてしまったのだ。
ちょっと、後悔している。
公式ホームページから送れるようになったお便り。
送信ボタンを押す瞬間は一応、躊躇いはした。
読まれる読まれない関係なしにね。“唯一の心の支え”であるさえずりさんにもこんな惨めで格好悪い私を知らしめたくないという不要なプライドが働いたのか。
ただ純粋に後ろ向きなお便りを送ってしまいたくなかったのか。
どちらかだったと思う。
送ってしまった今となってはもうどちらでもいい。仕方ない。
仕方ない、ね……。
最寄り駅の改札を出ると、コンクリートの地面に雨が降った形跡があった。
ひんやりと冷たい空気と湿気を感じてぼんやりと拳を握りつつ、
今夜は飲もう…
と。
家から一番近いコンビニへの道を歩んだ。
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