第7話

あーー。


残業が確定した時点で諦めてはいたが、スマホの画面に煌々と表示された22:32の文字にはどうしたって悔しさも滲んでしまう。


電車内に恐らく定時で上がって飲んできたであろう酔っ払いリーマンが2座席分を占めて座っているのも腹が立つ。

私は次の駅で乗り換えだから、座らないから別に良いけど!お疲れサマ!



「はぁ」



窓の外の夜景に向き直り、反射した自分越しに遠くを見つめる。



毎週金曜日の夜は、私にとって華金でもパーリーナイトでも何でもない。


ある意味華金でもパーリーナイトでもあるけれど…。



唯一心の支えにしている、毎週金曜夕方6時30分からのラジオが。あるのだ…。



今週は、それすら聴けなかった。



クソ上司が、折角定時に上がれたのに会社出た所で電話寄越すから!



『まだ会社?』って二度と聞くな!?


『あ〜悪いね』って本当に悪いと思っているならその時点で電話切れ!?


『急ぎじゃないけど来週までには用意してほしくて』って来週ならそれ急ぎだし今日金曜だぞ!? 土日休みの日にやれってか!?

悪だな!?



「悪玉菌上司めぇ…」



仕事で乳酸菌周りのことについて調べていたからか、思わずそのワードが独り言として零れた。無意識だ。

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