第22話

どうして。




「男嫌いが仕事の足枷になっているのは本当。実際今働いてて自分でも面倒だと思うし、それの所為で煩わしさ働きにくさも感じる。なかったらもっと働きやすいのにって、頭では解る。


善への気持ちに関しては、男嫌いを克服したいっていうより、今までほぼ親代わりに面倒みてくれた善にできる一番の恩返しだと思ったの、それが」



「…仕事の面で心未が克服したいのはわかった。


でも、善くんは——…」




面倒、なんて。



思った事。

あるのかな。



少なくとも、同じように“面倒”みてくれた善くんを見てきて、心未に対して今の今までそう感じる事はなかった。




「だって善に聞いたら絶対そんなの『全然?』とか言いそうじゃん。だから、

聞きたくない」




そう俯いた心未が。



善くんには見せられない心未なのだと、


本人から言われるまで気付きもしなかった私でさえわかった。


もうこれは、どうするのが正しいとか、そういう話じゃないんだ。




「…わかった。

私も心未が〜とか善くんの本心は〜とか、考えるのやめる。


心未のやりたい事をただ応援する!


職権濫用!!」



「今 さっきの男こっち見たよ」


「やべ」



「ありがと、桐」

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