第83話

「つーかさぁ。それ俺が貰ったプリンだからね? 吐いて?」



「ふぁかふぃふふぁ。ふぁふぇふぁふぁふふぁ」



「いやおまえぜってぇわざとだろ…。プリンはそう簡単にはそうならないんだよ ふぁ攻めすな」



いつの間に人の家の冷蔵庫を開けたのか、俺が貰って大事に大事に食べようとしていたプリンを頬張っている花山院クン。




「……?」


視界の端で何を思ったか不思議そうに小首を傾げたナズナが、\空気は読むものじゃない!吸うものだァ!!/とでも言わんばかりに「客人も蜆の味噌汁飲むか?」と言い出した。



「「(それ、今?)」」



恐らく今芹と俺は同じことを突っ込んだ。


プリンを目一杯頬張っている男に掛ける言葉ではない。




「俺潔癖で他人の作ったモンとか食えねーんだわ」



「? そか…」


アッ ちょっとショック受けてしょんぼりしてる…!


と思いきや、そのまま芹に「なぁなぁ、ケッペキって何だっけ? 赤ん坊がなるやつ?」と尋ねている。



「……」



「ああ、それ絶壁」と芹。



「…」


せめてもう少し頭が良かったら「これ俺が作ったものじゃなくてインスタントだから大丈夫だぜ」くらい言ってほしかった。


「絶壁? あー。フナコシさんの」




もういいや。




「ごめんごめん、」

「ぶきよう? 誰がだ」




えっ……。




思わず指しかけた指をお椀の近くで何とか留めた。




まーーーーじで言ってんの?このイケメン。




「…っ」


言葉にならない。が、間違いなく今目の前で見ているのは「ブキヨウって…ナニソレこのプリンより美味しいんか?」とでも云うかのようなイケメン俺様暴君の真顔だ。



しんどい。


この世界、しんどい。



飛び掛けた意識を手綱に、何とか話を進めた。つうかプリン吐けって。何食べ進めてんだよ。




「…今、日は何の用で?」

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