第5話
「こそでちゃん知ってるんだ」
「まーな!この人、昔やってたヤ○ザ映画に超カッケー役で出ててさー。それからずっとハマってんの。あーやっぱ超格好良いわ」
「確かに知ってるし格好良いけど…。もう結構おじさんだよ。こそでちゃんのお父さんよりも年齢上だと思うけど」
「は?歳とか関係ねーし!普通好きなもんは好きじゃん」
ウチは雑誌を握りしめてイクヤを睨む。こっちを見ないイクヤは机の端っこに目線を置いたまま呟く。
「成程…」
何だよ何か言いたいことがあるならいえよ。
「つうかウチはアンタがアニメ以外に俳優とか知ってることに驚きだわ」
「啓くんは俳優じゃなくて元々アイドルだよ」
「そんなんどっちでもいいだろ!!」
イクヤは、そっかと呟いた。こいつは呟いてばっかいる。どうせ言うなら目を見て言えといいたい。
しかしウチは、わざわざケンカをしに同じでもないこのクラスまでやってきたわけではない。
グ、と紙の束を握る強さを増す。
「あのさぁ。あと1限終わったら、その、い、一緒に」
「ごめん。今日は用があるから。もし傘忘れたとかだったら俺の貸すよ」
っハアアァァアア!!?
ウチは顔を鯛より真っ赤にして、勢いよく立ち上がった。
「何が『用』だよ!どーせアニメだろアニメ!ふざけんじゃねぇよ!か、傘なんて誰がいるか捨てちまえ!!」
「こそでちゃん」
「……あ?」
「あの、雑誌。大切なものだからそんなに強く握らないでもらいたい」
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