第26話

このひとは、本当に読めない。



地味だと思ったら真逆で。

優しいと思ったら意地悪で。




スカートを握り締める手は、やがて小さく震えだした。



あたし、こんなに怖いんだ。

振られるの。


…そうだよね。



やろうと思ったらできるほど甘いものではない。

でも、このまま留めておくのは、もっとできないと思ったから。


勇気を出して言った。






「『好き』って?」



「…え゛?」






この男。


ここまで来て、こんなことを言う。




「……ぅ…」



声にならなかった声。


目は兎みたいに真っ赤だし、眸に涙は溜まったままだし。



もう、最悪だ。




なのに、『好き』って何かって?


知らないよ、そんなの。





「……クス…」



「……」





何で、笑うの…。

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