第16話

12月25日。



当然ながら皆さんご存知の通りクリスマス。


なのに。




「ケホッ……本当にごめんね、ハル…」


『めぐ…。いいから寝とけ!あ、そうだ、あれが良いって聞いた、ネギ!』



電話の向こうから、一瞬ハルの悲しそうな声が聞こえた。でも、あたしに分からないように気遣ったハルに心が痛んだ。



「ネギ…?」



『おー!ネギを確か頭に巻くと風邪が治るらしい!』




頭に…?


何故……?





今家のベッドで横たわるあたしは、この大事な大事な日に、まさかまさかの高熱。


昨日はなんともなかったのに。



服も、プレゼントも買って、髪型も決めて……。


ハルと映画見に行ったりしたかったのに…。



何より。

ハル、凄く楽しみにしてたのに。




「うん、…うん。……じゃあ」



あたしは申し訳なさでいっぱいの重たい気持ちのまま電話を切った。



「……楽しみにしてたのにな…」


あたしは壁にかけて用意してあった新しい、可愛い服を見て、滲みそうになる涙に眉を顰めた。


「馬鹿かあたしは」



クリスマスなのにハルに気まで遣わせて。




嫌悪に捕われて、いつの間にか眠りについていた。

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