第16話
12月25日。
当然ながら皆さんご存知の通りクリスマス。
なのに。
「ケホッ……本当にごめんね、ハル…」
『めぐ…。いいから寝とけ!あ、そうだ、あれが良いって聞いた、ネギ!』
電話の向こうから、一瞬ハルの悲しそうな声が聞こえた。でも、あたしに分からないように気遣ったハルに心が痛んだ。
「ネギ…?」
『おー!ネギを確か頭に巻くと風邪が治るらしい!』
頭に…?
何故……?
今家のベッドで横たわるあたしは、この大事な大事な日に、まさかまさかの高熱。
昨日はなんともなかったのに。
服も、プレゼントも買って、髪型も決めて……。
ハルと映画見に行ったりしたかったのに…。
何より。
ハル、凄く楽しみにしてたのに。
「うん、…うん。……じゃあ」
あたしは申し訳なさでいっぱいの重たい気持ちのまま電話を切った。
「……楽しみにしてたのにな…」
あたしは壁にかけて用意してあった新しい、可愛い服を見て、滲みそうになる涙に眉を顰めた。
「馬鹿かあたしは」
クリスマスなのにハルに気まで遣わせて。
嫌悪に捕われて、いつの間にか眠りについていた。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録(無料)
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます