第38話

「面白いことだと、思って。」





らいおんさんは、睛を輝かせて、そう囁いた。




それがまるでひとの秘密事だと言うように。



……哂うように。






「面白いこと?」




「ああ。ひとは自分に未来があると言葉にしては言わないが、心の奥底でそう思っている証拠なのかと、思う。」




らいおんさんは、柔らかく微笑んだ。



それが言葉に出ているのだと。


そう言って。




――――彼がどの目線に立ってそれを口にしたのかは、判らない。







ただ、純粋にあたしは彼に惹かれた。






らいおんさんを、好きになった。

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