第34話

「……い」




全て思い出された記憶と入れ替わりに、唇の端から零れていくのは悲哀。




高校二年の秋から再生された映像を辿って、自分に問いかけた。




クリスマスパーティー。


だってその日は確か、育美のバイト先で催しがあって、行って――。



行って、楽しんでいる姿が映っている。


なのに。



きっと…ううん。




絶対、貴方に会いに行った筈なのに。





どうして。





そのあとの冬休みは?




そのあとのバレンタインは?



浮かれていたのは、




……誰に?








「…ない」

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