第3話
この世界で外出する事が増えた。
仕事の事だけではなく、デキドの家に行き本を読む為だ。
商品の奴隷ではなくなりデキドの持ち物になったからである。
デキドに「本を読め」と馬鹿の一つ覚えの様に言われるからだ。
デキドは俺に何をさせようとしているか?
夜、奴隷商館へ帰る。
ヴァサナ街は、かなり広い街だ。
俺はまだ街の中の事はあまりわからない。
街灯の様な物があり、それがある所しか移動しない様にと言われている。
子供に夜、一人歩きさせて良いのか?
不良になちゃうぞ。
空を見上げる。夜空にたくさんの星々。
しかしそれを圧倒するかの様な月。
普通、異世界だと月が二つあるとかが定番になっているけど。
なんとこの世界には月が七つあるのだ。
それぞれぼんやり七つ色に輝く。
星空の中の七つの月の存在感はなかなかだ。
大きさは七つともそれぞれ違う。
月が七つとも満月の夜は動物や魔獣が凶暴化するらしい。月が七つとも満月や新月の夜は、この世界では縁起が良くない様だ。
今日の夜の月は七つともばらばらだ
それぞれ別の色にぼんやり光る。
ちなみに太陽は三つある。
でも気候は地球と特に変わらない。
不思議な物だ。
月が七つあっても、やはり夜は暗い。
デキドの家といっても別宅である。
この街に三軒以上、でかい家を持っている。
金持ち恐るべし。
本宅より奴隷商館に近い別宅の書庫で本を読ませられる。
もちろんマンガなどない、字ばっかりの本。
一日中、朝から夜まで、さすがにしんどい。
この世界で紙は貴重品だ、本なら、なおさら貴重品。
それをあれだけ個人で持っているデキドの財力とはこれいかに。
一般的には紙や紙の様な物は羊皮紙、薄い木の板、竹の板、材料がよくわからない草をほぐして作った雑な紙などが多いが、この世界は正式名称は忘れたが紙の木と呼ばれる、地球にはなかった木がある。
軽くしなやかで、伐採しやすく紙に加工するのが簡単な木だそうだ。
似た物で薪の木と呼ばれる木もある。
こちらの木の方はもちろん薪に使われる。
薪の木の方が生命力が強い様で、朝に切断した所から夕方には再生が始まっているぐらいである。
しかし薪の木も紙の木も植生する場所も限られ育ってるのも難しく野生のはかなり貴重だそうだ。
そこで気になるのはウンコした後どうするのかという問題。
この世界の昔は知らんが今は質の悪い紙で尻を拭く。
しかし!この世界には生活魔法という物がある!
基本、頑張れば個人差があるものの魔法が使えるこの世界、魔法の中で生活魔法に分類される洗浄魔法を使えば服着たまま全身ウォシュレット状態!しかもすぐ乾く。
そして天才奴隷タダヒト!俺、習得済み。
やったぜ!今のところ一日一回が限度だけどね。
ちなみに使えない人は使える人に使ってもらう。
これを商売にしている人もいる。
魔法、この世界の人間は大なり小なり魔力を持っている。
人だけではなく草木や石や水、空気中にも魔力はある。
魔力と言うけど呼び名は時代や地域によってさまざまだ、マナ、オド、魔素、オーラ、氣、神通力、神聖力、冥力などだ。
魔法の言い方も魔術や精霊術、神聖術などいろいろある。
魔法の為の学校もあるらしい。
それから街は城壁で守られている。
戦争と魔獣対策で作られている。
魔獣、モンスターの事だ。
危険な存在だ。
前世ではゲームや漫画でお馴染みの。
でもこの世界にも熊や虎、狼の様な魔獣では無いが危険な猛獣もいる。
普通の動物という事だ。
魔獣と動物との違いは、動物に無く魔獣の体内にしかない物がある。
それを魔石という。
魔石を取れる動植物の事を魔獣と言う。
魔獣は普通の動植物より魔力の量が多く、その魔力が体内を血や体液、呼吸などで体内を巡りミネラル分などと合わさり固形化した物が魔石となる。
魔石は様々な物の原材料になり、街灯もその一つだ。
最近はデキドの別宅の裏庭で泥遊びならぬ
ゴーレム作りの練習をしている。
魔力の使い方が難しい。
やっと十センチぐらいの大きさの人型のゴーレムが出来た。
まだゆっくり歩く事しか出来ない、なんの役にも立たないゴーレム。
でも出来てちょと嬉しい。
もっと力持ちで大きなゴーレムが作りたいね。
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