第4話:だけどネックは歳の差。

人間って我慢の限界が来たら、誰かが背中を押してくれるもんだ。

昼休み僕は彼女の会社に電話をかけていた。


呼び出し音が胸のドキドキを誘う。

でも電話に出てくれたのは幸いにも彼女だった。


だから僕は夏祭り「夜市」に行きませんかって誘った・・・駄目元で・・・。


答えは意外にも・・・「はい、いいですよ」だった。


あまりにあっさりな答えだったから僕は言葉に詰まった。

なんとか焦りながら約束の時間の打ち合わせをして電話を切った。


僕はガッツポーズをして馬鹿みたい笑が止まらなかった。


デートの誘いに成功・・・だけど案外あっさり決まったことが不思議で

しょうがなかった。


まあでもいい・・・彼女との初デート。


待ち合わせ場所で彼女が来るのを待っていたら、なんと彼女は

初デートで浴衣姿だった・・・なんちゅうサプライズ。


浴衣姿の彼女はめちゃ初々しかった・・・まあそこは女子高生だし・・・。

夜市では四六時中盛り上がって年の差にも関わらず僕たちは意気投合した。


そう年の差にも関わらずだ・・・僕と彼女はめちゃ歳が離れてる。


僕は社会に出て15年・・・歳はすでに30歳・・・彼女は社会にすら出て

いないまだおぼこい17歳。


社会の理不尽や汚さに揉まれ、心も汚れて挫折も味わって、もう夢も

無くしかけて、ただ悶々と日々を生きる僕に・・・未来を照らす光明・・・。


でも社会の怖ささえ知らない高校生の彼女とこれからうまくやっていけるのか?

そのギャップをどうやって埋めればいい。


そんな思いをよそに彼女は次のデートの誘いもいおっけーしてくれた。

彼女を見送って、ひとり車の中で僕の心はこれ以上ないくらい晴れ渡っていた。


この時、僕は考えすぎてたみたいだ・・・彼女は歳の差なんて関係なくて

いっしょにいて楽しい人ならそれでよかったみたい。

今が楽しければそれでいい。


そのへんが将来に不安を抱く30男と、社会に責任がない17歳の女子高生との

差なんだろう。


僕と彼女の恋の物語はこうして始まったのです。


つづく。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る