椅子から身を乗り出す。とりあえず、タオルは丁度竹永の腰にぶら下がっているのが見えたから、竹永が正気を取り戻したら松方に渡してくれるとして。

その傍で、ぽた、ぽた、と次々に松方の面からクリームが落ちていくのが見える。


「まつかた ごめ…!」


可哀想に、誰より慌てて真っ赤っかだった顔を今度はさめざめ青くして松方のクリームを拭おうと指先を伸ばした竹永。


その手首を、松方の指が掴んだ。



「待って。竹永さんの手が汚れる、



…?



このケーキ、中に何か入って」



松方の顔が見えないが、肩を震わせた凛一が「もう無理」と呟いたのが聞こえた。この状況で笑い堪えてんのおまえだけだよ。


松方は竹永の手首を捉えてない方の右手を顔に持っていくと、何かを捕らえて戻した。


手のひらを見つめている。



「何ですかこれ。何か書いてある?」



「え、と…。それ、は…………かけおちけん……」





カケオチケン?





竹永の小さな声を拾った野郎全員が、再び一斉に疑問符を浮かべた。




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