沈黙の王国

冬生まれ

1

その日、一人の少女が処刑された。


真っ赤に燃える太陽のような長い赤毛に、琥珀色の瞳を持つ齢十六の元王女。


彼女の最期の言葉はこうだ。


「良かったな……これでこの国は救われるだろう」


民衆達の歓声が上がるなか、処刑台にて首を吊らされた彼女は知らない。


一人は泣き叫び、絶望に打ち拉がれながら涙をながした事を。


一人は馬を走らせ彼女の下に駆け寄り、膝から崩れ落ちながら叫び声を上げた事を。


一人は彼女の亡骸を抱え、肩を震わせていた事を。



そして、私は──────。

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