第7話

言うこと言い終えたあたしは既に帰りの出口の方へ向かっていた。





「……ちょ、っと待って下さい、竹永さん」


「ん?」



寝起きの松方の声は、少し掠れていて。それがちょっと、なんだか、あたしに足止めを喰らわせた…気がした。





「俺…」


「あ、今俺って言った」



「僕、」




何を油断したのか、松方の“俺”呼びは珍しい。





「僕、別に店長に用があったわけでないんですが」



松方はわざわざ言い直す。




「そうなの?ほお」



あたしはこのくらいしか返す言葉がない。

松方の用なんて知ったこったないわ。






「竹永さん」


「なに」


「知ったことない、と?」


「別に」


「竹永さん」


「今度は何」


「好きです」


「だから…








      は?」

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