第30話 ついに入手!!

 ダンジョン内を歩き回りながら、水頭モンスターを狩りまくった。


「むっ、何かあるぞ!」

「あれって、服なんじゃないの!?」


「な、なんだってぇっ!?」


 水頭モンスターが消えた場所に、フード付きの黒いローブが落ちていた。


 なぜか胸の真ん中に、大きく白で『貧』と書いてある。


「こ、これは服だっ! 間違いなく服だっ!! やった、やったぞっ!!! ついに俺たちは服を手に入れたぞっ!!!! これで町に入れるぞぉぉぉぉぉっ!!!!! うおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおっ!!!!!!!」


「んぴょぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉっ!!!!!」


「やったでやんす! やったでやんす! めでたいでやんす!! あははははははははははっ!!!!!」


「おめでとう、シバル!」

「おめでとう!」

「おめでとう、おめでとう!」


「おめでとうございマ~ス!」

「おめでとう、良かったわネ~!」

「おめでとうございマァス!」


「おめでとうございまッす!」

「おめでとうだぜッ!」

「おめでとうッ!」


「ありがとう、みんな!!」



「実に喜ばしいでやんす! ここは喜びの舞を舞うしかないでやんす!! ふはーっはははははっ!!!」


「ああ、踊れ! 踊りまくれ!!」


「んぴょぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉっ!!!!!」


「ああ、存分に踊るんだぜッ!」

「見張りはしておいてやるからなッ!」

「気が済むまで踊ってくださッい!」


 みんなで踊りまくった。



「はぁはぁ、疲れた……」


「んぴょー……」


「まったくでやんす……」


「あっ、そうだ。この服の解説を見てみようか」


「そうでやんすね」


 コメンタリーオープン。



 名称

 ひんローブ。


 解説

 ウォーターヘッドラビットグミ(通称、ウォヘラグ)のノーマルドロップ。


 食べられない。


 胸部に『貧』と書いてあるフード付きローブ。

 だから、この名称。


 粗悪品で破れやすい。

 酷使すると、すぐに破れる。

 これを着て、戦闘するのはやめた方が良い。

 戦い終えたあと、ボロボロになっていることだろう。


 このローブは、着た人にピッタリのサイズになる。

 この効果は、初回限定なので要注意。


 装備しても、ステータスは上がらない。

 もしかしたら、変態力は上がるかもしれない。



「あの人型の頭、こんな名前だったのか」


 水の頭でウサギでグミなのか。

 訳が分からないなぁ。


「では、以後、この名で呼ぶことにしよう」


「そうだな」


「モンスターの方は認めないかもしれないけどね」


「ああ、確かにそうかもな」



「胸に『ひん』と書いてあるから『ひんローブ』なのか」


「単純すぎマ~ス」

「もっとひねって欲しいわネ~」


「まったくだな」



「これも粗悪品なのかよ」


「これも町に行く時だけ着ることにした方が良いみたいネ~」


「そうだな」


 せっかく入手できたのに着れないのかよ。


 厳しい世界だなぁ。



「では、あと2着集めるとするか」


「んぴょー」


 ナワデシバラさんが首を縦に振った。


「了解でやんす」



 俺たちはまたダンジョン内を歩き回りながら、ウォヘラグを狩りまくった。


「なかなか落とさないな」


「ノーマルドロップのくせにおかしいでやんす! これは説教をするしかないでやんす!!」


「そんなことしなくていい! さあ、次を探しに行くぞ!!」



     ・

     ・

     ・

     ・

     ・

     ・



「んぴょーんぴょーんぴょーんぴょー」

「『そろそろ脱水症状が出そう』と言っているみたいデ~ス」


「仕方ない、モンスターにやられるか」


「うわぁぁぁぁぁぁんっ、もうこんなの嫌でやんす!」


「耐えろ。服と水筒を入手すれば、少しは状況が改善されるはずだ。ほら、行くぞ」


「うえぇぇぇぇぇぇん、ひどいでやんす! ひどすぎるでやんす!! びえぇぇぇぇぇんっ!!」



     ・

     ・

     ・

     ・

     ・

     ・



「あっ、イウォヘラグだ。倒すか」


「んぴょーんぴょー……」

「『気が進まない……』と言っているみたいネ~」


「あいつが水筒を持っているかもしれないんだ。申し訳ないが、我慢してくれ」



     ・

     ・

     ・

     ・

     ・

     ・



「出なさすぎる……」


「もうレベル13になってしまったでやんすよ……」


「んぴょーんぴょーんぴょーんぴょーんぴょー?」

「『これはまさか物欲センサーの仕業?』と言っているみたいデェス」


「ははは…… そうかもしれないな」


「わたしはひんローブも水筒も欲しくないでやんすよ! だから、早く出て来てでやんす!!」


「それじゃあ、ダメだろ!」


「ああ、ダメダメだなッ」



     ・

     ・

     ・

     ・

     ・

     ・



「おおっ! 出たぞ! ひんローブだ!」


「んぴょぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉっ!!!!!」


「よっしゃでやんすぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅっ!!!!!」


「おめでとう!」

「おめでとうございマァス!」

「おめでとうッ」


「ありがとう! あと1着だ! がんばろう!!」



     ・

     ・

     ・

     ・

     ・

     ・



「戦いまくっているのに、水筒は手に入らないなぁ」


「ウォヘラグは持っていないのだろうか?」

「それとも、我々の運が悪いだけなのだろうか?」


「どうなんだろうな?」



     ・

     ・

     ・

     ・

     ・

     ・



「おっ、気の抜ける効果音だ」


「これでレベル15でやんすか」



     ・

     ・

     ・

     ・

     ・

     ・



「そろそろ脱水症状が出そうだな」


「はぁ、またでやんすか……」


「んぴょー……」


「仕方ないだろ。さあ、モンスターを探そう」


 気は進まないけどな。



     ・

     ・

     ・

     ・

     ・

     ・



ひんローブだ! やっと出た!!」


「んぴょぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉっ!!!!!」


「やっと終わったでやんす!!!」


「おめでとう!」

「おめでとうございマ~ス!」

「おめでとうございまッす!」


「ありがとう、みんな!!」


 でも、まだ水筒を入手できていないんだけどな。


 イウォヘラグ聖水は8本もあるんだがなぁ。

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