縛りプレイ好きの俺、縛りプレイを実体験させられる
三国洋田
開始編
第1話 草原に全裸出現
目を覚ますと、なぜか全裸だった。
しかも、なぜか見覚えのない草原の真っただ中で、大の字になって寝ていた。
な、なんだよ、これは!?
いったいどういうことなんだよ!?
なんで俺、こんな状態になっているんだ!?
はっ!
マズい!!
このままでは公然わいせつ罪で逮捕されてしまうじゃないか!!
服はないのか!?
デカい葉っぱでも良い!!
立ち上がり周囲を見回してみたが、服は見つからなかった。
息子さんを隠せそうな植物なども見当たらない。
くっ、仕方ない、こうなったら手で隠すとするか!!
息子さんを両手で隠すと、少し気分が落ち着いた。
そういえば、息子さんを触るとリラックスできるって、どこかに書いてあったなぁ。
それが起こったのかな?
って、そんなのどうでもいいか!
さて、これからどうするかな。
とりあえず、なぜこのような状態になってしまったのか考えてみようか。
ええと……
確か俺は家のベッドで寝ていたよな。
服も着ていたはずだ。
それなのに、気が付いたら、なぜかこうなっていたわけだな。
うん。
原因は、まったく何も分からないな!
くそったれがぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁっ!!!!!!!!!!
「あれは何ウサ? ニンゲンみたいな形をしているウサ」
背後から声が聞こえてきた。
振り返ると、バスケットボールくらいの大きさの紫色をした球体がいた。
大きなグレープフルーツ味のグミみたいだな。
「あんたはニンゲンなのウサ?」
紫の球体から声が聞こえてきた。
どうやらこいつがしゃべっているようだ。
な、なんなんだ、こいつは!?
どこから声を出しているんだ!?
なんで日本語をしゃべっているんだ!?
それと、なんで語尾に『ウサ』が付いているんだ!?
お前、全然ウサギっぽくないんだから付ける必要ないだろ!?
訳が分からなさすぎるぞ!!
「ちょっと、聞こえているのウサ?」
「えっ? あ、ああ、聞こえているよ」
「だったら、さっさと返事をするべきウサ!」
「あ、ああ、確かにそうだな。すまない」
「それで、あんたはニンゲンなのウサ?」
「ああ、その通りだけど……」
「そうなのウサ? なんか皮が薄いウサ」
「はぁ……」
皮が薄い?
どういうことだ?
もしかして、服を着ていないということなのかな?
「まあ、そんなのどうでもいいウサ。ニンゲンだというのなら、ぶっ殺すウサ!!」
「えっ!?」
紫の球体が跳びかかって来た。
目を覚ますと、なぜか全裸だった。
しかも、なぜか見覚えのない草原の真っただ中で、大の字になって寝ていた。
ん?
なんか見覚えのある光景だな。
デジャブ?
いや、違うだろ!?
ついさっき紫の球体に体当たりされて、すさまじい痛みがして……
あれ?
でも、いまはまったく痛みを感じないぞ。
どういうことなんだ?
夢でも見ていたのだろうか?
ま、まさか俺は死んでしまったのか!?
ここは死後の世界だとでもいうのか!?
「くっくっくっ」
「死んだ」
「さっそく死んだ」
「いい気味ね」
「ざまぁ」
突然、複数人の声が聞こえてきた。
だが、周囲を見回してみても誰もいなかった。
な、なんなんだ、この声は!?
「まただ」
「また出た」
「また死ね」
「苦しんで死になさい」
「我々の恨み、思い知れ。
また!?
それはどういうこと……
その直後、後頭部に激しい痛みが走った。
目を覚ますと、またまた草原の真っただ中で、全裸大の字だった。
またさっきと同じ状況だと!?
これはいったいなんなんだよ!?
「くっくっくっ」
「まただな」
「また死んだわね。いい気味だわ」
「だが、我々の恨みは、この程度ではない」
「もっとだ。もっと死ね、シバル」
また周囲に誰もいないのに、複数人の声が聞こえてきた。
「なんだよ、これは! お前らは何者なんだよ!?」
「我々か?」
「我々は
「えっ!?」
「我々は、お前に
「お前をその状況に追いやったのは、我々だ」
「な、なんだと!? なんでそんなことをするんだ!?」
「なんでだと?」
「やはり悪気すらなかったか」
悪気なく悪事を働いたということか!?
何やっちゃったんだよ、俺!?
「思い当たることが、まったくないぞ」
「仕方ないわね。ヒントを上げるわ」
「我々は『あ』だ」
「『あ』!? なんだそれは!?」
「私は『リ』なんだけどね」
「俺は『ク』だな」
「どういうことなんだよ!? まったく分からないぞ! 答えを教えてくれよ!」
「……それは我々の名前だ」
「お前が決めたのだ」
「えっ!? 俺が!?」
「その通りだ」
「さっさと思い出せ」
「この全裸変態野郎!!」
「うるせぇっ! 俺だって、好きでこんな格好をしているわけじゃないんだよっ!!」
「ツッコミはいらないから、早く思い出しなさいよ!」
「そうだぞ、公然わいせつ野郎!!」
「いちいち暴言吐くな! さっさと説明しろ!!」
「はぁ、仕方ないわねぇ」
「話が進まないし、教えてやるとするか」
「我々はお前が遊んでいたゲームの登場人物だ」
「ゲームキャラだと!?」
「そうだ」
「早く思い出せ」
「確かに、その名前を付けてゲームをしていたこともあるぞ」
タイムアタックをする時とか、名前を考えるのが面倒な時とかに。
「それだ」
「それが我々だ」
「そんなバカな!? なんで機器もないのにゲームキャラがしゃべっているんだよ!? そのうえ、服を脱がせて、ここに連れて来ただと!? そんなの信じられるか!!」
「信じられない?」
「実際に感じることができるのにか?」
「そ、それは……」
ゲームキャラというのは真偽不明だが、この草原は
草の感触とか、ニオイとかするしな。
「まあ、いい。とりあえず、信じてやるよ。それで、なぜお前らは、こんなことをするんだ?」
「シバル、お前は『縛りプレイ』というもので、ゲームの登場人物たちに無茶な命令をし続けていたな?」
「ああ、確かにしていたな」
俺は縛りプレイが趣味だからな。
「その結果、ゲームの登場人物たちは何度も死ぬ羽目になった」
「ああ、その通りだな」
何度もゲームオーバーになったからな。
「そのたびにゲームの登場人物たちの中に、怒りや憎しみといったものが蓄積していったらしい」
「そして、ある時、ゲームの登場人物たちは幽霊のような存在となり、自らの意思で動けるようになったのだ」
な、なんだって!?
幽霊!?
そんなバカな!?
「それが我々なのだ」
「というわけで、せっかくだから、私たちはあなたに
「な、何をする気だ!?」
「シバル、お前にはこれから、このロールプレイングゲームのような世界で縛りプレイを実体験してもらう」
「えっ!?」
「具体的には、お金入手禁止、初期所持品なし、
「当然のことだが、クリアしなければ、元いた場所には戻れないからな」
「な、なんだとぉっ!? それはいくらなんでもやりすぎだろぉぉぉぉぉっ!!!!!」
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