第37話
勉強……あぁ……勉強かぁ……。
これからも二人でずっといたい。そんな後になって考えると顔から火が出そうなことを誓い合った俺たちだったが、そんな俺たちの前には巨大な壁が立ちはだかっている。
それは学力差問題である。
高校は中学と違って、ある程度学力の近い者が集う場所であるが、俺は高校内でも進級がやっとの底辺で、明日花は学年でもトップレベルの成績である。
定期的にポンコツ化する明日花だが、勉強の方は全くポンコツではなく、可愛げのないレベルで優等生である。
ってかそもそも明日花はその気になればもっと上の高校に通えるレベルだったし……。
そんな俺と明日花が同じ大学に通うことは現実的ではない。
明日花に『明日からバカになって。明日花だけに……』とかいう微塵も笑えないお願いをするわけにもいかないし、この成績ギャップを埋めるためには俺が賢くなるしかないのだ。
翌日、吉田から空き教室に呼び出されて詰められた俺はそのことを彼女に相談することにした。
吉田は少しだけ関係が前進した俺たちを「よくできました」と褒めてくれたが、根本的に俺がバカである問題については渋い顔をした。
「さっさと賢くなれよ」
なんて辛辣な言葉を頂戴したが、賢くなりたくて賢くなるのであれば苦労はしない。
どうしたものか……と悩む俺だったが、そんな俺の肩をポンと叩いて吉田は「良い考えがあるよ」と笑みを浮かべた。
なんだろう……前は可愛いと思っていた吉田の笑顔は、最近少し怖い……。
「良い考えってなんすか……」
ヒヤヒヤしながら吉田のアイデアを尋ねる俺だったが彼女はニコニコしたまま何も答えない。
「なんで何にも言わないんですか……怖いっす……」
と声をかけると彼女は鞄からなぜかペンケースを取り出すと、チャックを開けてマーカーをいくつか引っこ抜いた。
そして、ペンの蓋を引っこ抜くと当たり前のように俺の頬に何かを書き込み始める。
いや、なんで……。
が、恐怖のあまり身動きの取れない俺は吉田になされるがままで突っ立っていることしかできなかった。
そして、5分ほど何かを書き書きすると「よし」と満足げにまた笑みを浮かべる。
可愛い……けど怖い。
吉田はペンを片付けると今度はスマホをポッケから取りだして俺の顔を撮影する。
「何をなされているんですか?」
「鎌田くん、見て」
「え? あ、はい…………っておいっ!!」
そこでようやく俺は吉田が何を書いたのかを理解した。
俺の頬に書かれていたのは『私、鎌田祐太郎は吉田明日花が大好きです♥』というメッセージとその下に、俺の家の住所が書かれていた。
「ってかなんで俺の住所知ってるんすか……」
「三宅さんに聞いたよ」
「な、なるほど……」
いや、なるほどじゃないっ!!
「なんでこんなことしちゃったの……」
「鎌田くんを追い込むためだよ」
「ちょっと何を言っているのか……」
「今日から文化祭の日まで鎌田くんに猛勉強をしてもらおうと思って」
「いや、話の流れがこれっぽっちもわかんないっす……」
「あのね。文化祭当日に私がテストを作ってくるから鎌田くんには、そのテストで合格点が取れるように勉強をしてほしいの」
「はぁ……」
「大丈夫。テストの範囲はあらかじめ伝えておくし、しっかり勉強すれば解けるはずだから」
吉田がテストをすることはわかった。
けど。
「それとこの写真は」
「もしも合格できなかったらこの画像SNSにアップするね」
あ、こっわ……
そこで俺はようやく吉田の良い考えとやらの意味を理解した。
吉田よ……本当にお前は俺が惚れて告白をした吉田と同じ吉田か?
なんて本気で不安になったが、どうあがいても住所の書かれた俺の頬の写真を吉田が持っているという事実は揺るがない。
「吉田……冗談か?」
「冗談に見える?」
「いえ、まったく……」
どうやらそういうことらしい。未ださっき起きたことを現実として受け入れられない俺をよそに吉田は「鎌田くん、私、応援しているからね。あと、試験範囲は後でメッセージで送るからね」と言ってどこかに行ってしまった。
これはまずい……。
ということで放課後、俺は明日花に泣きつくことにした。
「ど、ど、どうした祐太郎っ!! 急に私に甘えるなんて祐太郎らしくないぞ……」
「明日花ちゃん、なんでもするから俺に勉強を教えてください……」
「な、なんでもっ!? どうして今日はそんなに甘えモードなんだ? わ、私は少し困惑しているぞ……」
「お願い……俺に勉強を……」
その日、明日花の家にお邪魔をすることになった俺は、その後、明日花とめちゃくちゃ勉強した。
――――――
某出版社のパーティとか忘年会とかでめちゃくちゃ更新遅れました。
すんません……。
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失恋した俺を隣で励ましてくれる幼馴染には好きな人がいるらしい あきらあかつき@10/1『悪役貴族の最強 @moonlightakatsuki
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