まえがき
極座標平面に示された点のように、あの日に忘れたものを指し示すことすら能わずに。だが、その先にきっと待っているシを想えば、長らくも続く故に縁しても、この孤独らを矮小なる因果に組さんとすることを認めるのだろうな。凍る平野にそよぐ夏の風も、晩夏の揺らぐ煙にも映っては翳る走馬灯のようなものなのだよ。
探すことをやめるのは、そも、生きたことを否定する愚行と知れ。死にぞこないの色香が如く、優れた終末の火に焼かれることを懺悔とするは劣等だが、努々、まだ己の罪がどこからきて、どこへと流れゆくを知らぬは万民の四葩へと。ある老人が来たりては、我に畏き謙遜の中でこう訊いたのだ。
「リシよ。あなた様の目には何がお見えなのですか」
簡美な話をする段階はとうに終わったのだよ。比するに、釈尊が衆生にも解るように示した教えのような次元のものでもなければ、蒙昧な科学が鳥かごの中で見つけた粟を解とする愚かさも持ち合わせていない程には、我の言葉の何たる非実我的であるかを指し示そうというのだ。だがな、子よ。それでは為せないのだよ。人、体や欲に依っている限りは。だからと言って早まるでない。これより、我がそれを指し示そうというのだからな。
否、その真実の原水から解き放たれんは、終末を象る識の業=劫
ラ、総じて秘めた根源的な死から導かれる解=夢の先、門
今、原初の光を見た。嗚呼、暗くも眩しい光が焼いた。
そうだな。女王の修練さはもうおしまいだ。
タロットは王へと移行する。
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