第18話 診察
「話せる範囲で構いません。お願いします!ルーカスは、どこが悪いのですか?
何の病気なのですか?
治りますよね大丈夫ですよね?助けてください先生!」
私は感情が制御出来ずに、先生にひたすら質問をする。何か話していないと不安でどうしようもなくて、パニックに陥りそうになる。
もう既にパニックなのかもしれない。
「落ち着いてください。こんな時だからこそ、どうか落ち着いてください。ゆっくり深呼吸をして、大丈夫ですね」
「は、はい。動揺して。すみません。大丈夫です。」
大人しくソファーへと座り、先生の言葉を待った。
「結論からいいますと、彼は病気ではありません。彼は一一」
「そんなっ!あんなに苦しんでいるんですよ!病気じゃないなんてありえないでしょう。きちんと原因を調べてくださいお願いします!」
またパニクる私を先生は落ち着くように宥めると、説明を始めた。
「落ち着いてください。確かに苦しいでしょう。原因は病気ではありませんが…
詳しいことはこれ以上は話せません。
ただ、彼には一刻も早い治療が必要です。こちらの設備では難しいので、紹介状を書きます。すぐに向かわれた方がいいでしょう。
治安隊の同行をお願いしてあります。」
「治安隊?」
「驚かれましたかな。ちょっと気になることがありまして。
事件性の疑いがあるとだけお話ししましょう。
やましいことがなければ何も恐れることはないでしょう?
それに先導してもらえば速く到着することもできます。
それだけ緊急を要する状態です。
あなたの心配している様子が演技ではないと信じて、お話ししたのです。どうか裏切らないでくださいね」
事件性?
今はそんなことどうでもいいわ。
ルーカスが助かるなら、とにかく急がなければ。
治安隊の方が到着するまで、ルーカスの傍にいたいことを告げると、スタッフの方と共にいることを条件に承諾された。
「ルーカス」
自分は無力で、苦しむルーカスをただ見ていることしかできなくて、ルーカスの掌を握り、早く治りますようにとひたすら祈っていた。
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