第17話

「ルーカス!ルーカス。返事をして、ルーカス!」



苦しそうに表情を歪ませて、顔面蒼白になっていくルーカス。


どうしたらよいか分からずに、ただただ名前を呼びかける。


「リ…ナ」


「ルーカス!どこか痛いの?どこが苦しいの?しっかりしてルーカス

え?なに?」



「落ち…つ……て


なんで……も……から」


そんなっ、


呼吸が先程より弱々しい



何でもないはずないじゃない。


どれだけ我慢強いのよ


「ルーカス、待ってて、誰か呼んでくるから。こにいて、ね」



私はルーカスを一人残して街へと戻ることにした。



ふと気になって振り向くと、ルーカスがゆっくりと移動していた



!!!


慌てて駆け戻る。


「ルーカス、私から逃げられるはずないでしょ。かけっこだってかくれんぼだっていつも私がっ」


「はは …」


てや~


火事場の馬鹿力なのか、変な掛け声と共に私はルーカスの腕を自分の肩に回すと、ゆっくりとルーカスを支えて歩き出す。



このままルーカスを置いていくと戻って来たときにはいないかもしれない。



ルーカスはいつだって私に心配をかけないようにするから


あの人はルーカスを気にかけてくれない


このまま帰られたらどうなるか。ルーカスは一一一


しばらく歩いていると、偶然通りがかった方が馬車を手配してくれて、私達は診療所に行くことが出来た。


ぐったりしたルーカスを診療所の方達が運んでくれて、診察の間私は別室で待機していた。



落ち着かなくて、じっと座っていることが出来なかった。



「先生、ルーカスは、彼は大丈夫なんですか?」



診療所の先生が入室すると、思わず突進して質問攻めにする

こういう状況に慣れているのか、動じない様子で先生は私に座るように促す。



「失礼ですがご家族の方ですかな?」


「えっと…ち、がいます」


「そうですか。ご家族と連絡はとれますか? 患者の状態について気になることもありまして」


家族‥


「彼は、隣街に住んでいて」


旦那様は引退なさったとおっしゃってたからどこで暮らしているのかわからない


「ではご家族は隣街に?」


「彼は、ど、独身で、」



あの人は籍を入れていないと言っていたから嘘は言っていない。あの人にルーカスを任せられない


「そうですか、親しい方もいっらしゃらない?」




「こ、婚約者が」



「その方に連絡はとれますか?」




「む、むずかしいかと。ですが私は、幼馴染です。彼の容態について知りたいんです」


多少苦しい理由だけど、ルーカスのことが気になる。


「とても心配なんです!教えてください」


先生は私の様子を窺うとしばらく悩んでいた。


「なにか、事情がおありのようですね。

ですが私どもにも守秘義務というものがございます。話せる範囲でお伝えしましょう」



















  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る