第10話 試練の果てに見えるもの
夜も更け、アレンとリナは三つ目の試練が待つとされる学園の西側にある小さな洞窟の前に立っていた。古びた石碑に書かれていた通り、洞窟の奥に次の手がかりが眠っているはずだった。
「この先に、何が待っているか分からないけど…ここまで来たからには進むしかないね」
アレンが洞窟の入口を見つめながら言った。リナは静かに頷き、少しだけ緊張した様子で洞窟内を覗き込んだ。
「私たちで確かめるしかないね。準備はいい?」
二人は無言のまま互いに目を見合わせ、洞窟へと足を踏み入れた。内部は薄暗く、冷たい風が吹き抜ける。足元には小石が散らばっており、奥へ進むごとに空気がさらにひんやりとしてきた。
「この洞窟、何かの魔力が漂っている…」
アレンは無色の魔力を集中し、周囲の様子を感じ取ろうとした。すると、洞窟の奥からかすかに声が聞こえてきた。低く、重々しい声で囁かれる言葉が、二人の耳に届いた。
「我を試さんとする者よ…真実の光を見極めよ」
その声が響くと、二人の足元に四つの光の球が現れた。それぞれが異なる色で輝き、洞窟内をまばゆい光で照らしていた。
「これは…?」
リナが不思議そうに見つめていると、光の球がそれぞれ異なる方向へと飛んでいった。
「どうやら、四つの光の中から真実の光を見極める試練みたいだね。どの光が正しいのかを見つけないと」
アレンが周囲を見回し、飛んでいった光の球を追いかけようとすると、リナが一つの光を指さした。「あれ、少しだけ魔力が他の光と違う気がする」
リナが示したのは、青白い光を放つ球だった。彼女は慎重にその光の性質を感じ取ろうとし、さらに観察を続けた。
「これは…青白い光だけど、何か不安定な感じがするね。他の光も見てみよう」
アレンは青白い光に一瞬迷いを抱きながら、もう一つの光の球に意識を向けた。赤く燃えるような光が洞窟内を照らし、彼の心に力強い感覚を抱かせたが、その光にはどこか攻撃的な波動が感じられた。
「この光、確かに強いけど…何か違う」
リナも他の光を見回しながら、慎重に判断を重ねた。「きっと、真実の光はもっと静かなはず。見かけの強さだけに惑わされないで」
そうしているうちに、二人は淡い緑色に輝く光に目を向けた。その光は静かで、周囲に柔らかな魔力の波を広げていた。リナはその光をじっと見つめ、何かを感じ取ったように微笑んだ。
「これが、真実の光かもしれない」
アレンもその緑色の光を見つめ、確信を得たように頷いた。「この光だけが静かで、でも確かな存在感がある。これが答えかも」
二人は緑色の光の球にそっと手を伸ばすと、光が二人を包み込み、洞窟内が一瞬で明るく輝いた。その輝きが収まると、洞窟の奥に新たな道が現れ、そこには最後の試練へと続く扉があった。
「これで三つ目の試練も終わりだね」
アレンは少し疲れを感じつつも、扉の先に待つ最後の試練に心を引き締めた。リナも深呼吸をして、静かに決意を新たにする。
「ここまで来たからには、あと一つの試練も乗り越えよう」
二人は扉を見つめながら、新たな力が湧いてくるのを感じた。学園の封印に関する真実がすぐそこに迫っていることを直感し、最後の試練に向けて気持ちを固めた。
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