第19話

「……ちゃんっ」


「……」


「…美希ちゃん!!」


「……深澤……さん?」


「!!」


「うきゅ!?」



重たい瞼をゆっくり開けると、それに気付いた深澤さんに抱きしめられる。


寝起きにコレはっ。



「良かった!!本当に良かった!!」



汗の匂い、湿った服。


どれだけ必死だったかがそれだけで伝わってきて、泣きそうになりながら、私も深澤さんの背中に腕を回す。


戻れたんだ、私。



“あんな良い男、逃がしちゃダメよ”



うん。


本当にこんなカッコいい人はいないと思う。


だから



「深澤さん」


「うん?」



話しかけると、私を見るために体を少し離す深澤さん。


それを少し淋しく感じながら。


でも深澤さんの表情は蕩けるように優しい。



ああ、大好き。



「どうしてオデコにしたの?」


「え!?」



そう、深澤さんはキスを唇ではなく、オデコにしたんだ。


こういう時は唇じゃないの?



「それはっ。それは唇にしたかったけど!!」



したかったんだ、えへへ。



視線が定まらない深澤さん。


でも



「やっぱりそこは……気持ちが通じ合ってから」



最後はそう言って、真っ直ぐ私を見てくれた。


真剣な表情。



ドキドキと高鳴る心臓。


壊れてしまいそう。



でもまだダメ。


この想いを伝えないと。



私は深澤さんの首に両腕を回す。



見つめ合うこと数秒。


コチっと自然に二人のオデコが合わさり……

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