神様の正体

第18話

聞こえてきた声。



懐かしい……


ずっと聞きたかったこの……声!!



「お母さん!?」


『美希』



お母さんだ!!


5年前……脳梗塞で……逝ってしまった



「お母さん!!」


『もう、アンタ達焦れったいから出てきちゃったじゃない』


「焦れ!?」


『お母さん、ずっと深澤くんを観察してたんだけど」


「観察!?」


「とても、とても良い男だから逃がしちゃダメなのよ!!』


「逃が!?」


『ごめんね、突然アナタ達をおいて逝って』


「お母さんっ」


『幸せになって。あの人ならアナタを任せられる。アナタを守ってくれる』



私が守れなかった分までー。



そうお母さんが言った瞬間、意識が強く引っ張られる。



『これはお母さんの最後のイタズラ』



そうだ、お母さんはとてもイタズラ好きでいつも私とお父さんを笑わせてくれていた。


太陽みたいな母だった。



「お母さん!!」


『幸せに、私の可愛い娘ー』


「!?」



眩しいほどの光。


けれど最後に、その光の中に……


母の笑顔を見たーー





神様の正体は



恋に消極的な娘を心配する母でした。




お母さんー

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