第12話

おお!!


動けるようにもなってる!!



「!!??」



わっわっ。


見事に飛び蹴りが決まったのだけど、その後は落ちるだけ。



おーっ。



ポフッ。



「ほーっ」



ベッドに落ちる前に深澤さんが両手でキャッチしてくれた。



温もりを感じる。


大きな手に包まれている感覚もある。


深澤さんから何か良い匂いまでする。


それがわかった途端、ドッドッドッと心臓が早鐘を打つ。


私、本当に深澤さんの家で深澤さんと居るんだ……



ヌイグルミでだけど。


でも……



「……美希ちゃん?その声は……美希ちゃんなの?」



真っ直ぐヌイグルミを見て言う深澤さん。



『っっ』



わかるの?


声で、私だって。



『はい』



恥ずかしくて視線を逸らしながら頷いた……



ら!!



「わーっ!?」



またしても叫んだ深澤さんは、またしてもヌイグルミを抱きしめベッドへ倒れた。



『深澤さん!?』


「いつから!?いつからなの!?」


えっと……


「ヌイグルミに話しかけるところも、ヌイグルミにミキティなんて名付けてるとこも、まさか全部……?」


『……はい。聞いてました』


「……もう終わりだ」



??


終わり?



「気持ち悪いよね?そんな男……」



シュン……と子犬のように項垂れる深澤さん。



『そうですね、ビックリはしました』


「だよね」


『だけど、気持ち悪いなんて思ってませんよ』


「本当に!?」


『はい』



私のことを想ってのことだから、わかってしまえば嬉しいというか……



「良かったぁーっ」



私の言葉に安心したのか、ムギューッと力いっぱい抱きしめられる。


さっきまでの私なら大丈夫だったんだけど、今は



『ぐ……ぐるじぃ』


「わっ、ごめん!!」


『「……」』



パッと離してくれた深澤さん。


私達は寝転んだまま見つめ合い……


よくわからないこの状況に



『「アハハハハハハッ!!」』



笑ってしまった。


しばらく笑った後



「それで?どういう状況?」



冷静になった深澤さんに真顔で聞かれた。



それは私も知りたいです。



『「……」』

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