第7話

……


のーーっ！！



せっかくっ。


せっかく深澤さんに抱きしめられているというのにっ



ヌイグルミの体では何も感じないんだがーーっ！？



匂いもしないしっ。



何！？


もうこれ拷問！？


拷問なの！？
























いや、しかしどういう状況！？コレ……。


一人暮らしのイケメンが急に可愛い……



ん？


可愛いのか？


私が見えるのはヌイグルミの足だけで。


多分、犬かクマあたりだと思うのだけど。


可愛い希望。


じゃないとやってられない。



ヌイグルミを抱きしめるなんて。



もしかして深澤さんは……ヌイグルミ愛好家！？


そっか。



男がヌイグルミ？なんて思う人もいるかもしれないけど。



私は


良いと思う。



深澤さんとヌイグルミなんて、想像するだけで鼻血ものじゃないか。



可愛い！！



見たいなぁー。



なんでヌイグルミの中になんて居るんだ私！！



あああああーっ。



今漸く、己の状態を呪っていたら



「どうして……」



深澤さんが切ない声で呟いた。



どうして？



誰かを想っているんだとわかった。


だってそうじゃなきゃこんな切ない声なんて出ないよ。



ズキッと心臓が痛んだ……

























のもつかの間

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう！

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。（ログインが必要です）

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録（無料）

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る