episode18 離れ離れ
悠介は俺と違う高校に行く。
あの名門校に行くんだ。
それまで一緒に居たい。
離れたくない。
そんな想いだけがぐるぐると
頭の中をまわる。
「悠介!今日あの駅前のパンケーキ
食いに行こーぜ!」
「別にいいけど、パンケーキは凛太郎の
好物だろ?」
パンケーキは凛太郎の
好物だ。
わざわざ俺を誘うなんて
珍しい。
「悠介と行きたいから」
少し照れたような、目を合わせないで
凛太郎が言う。
「うん、行こっか」
「やったあ!」
…長蛇の列だ。
「ここ、こんなに並んでるのかよおおお」
「女子しかいない」
確かに並んでるのは
女子ばかりだ。
男子は俺たちくらいしかいない。
「凛太郎!こっち!」
手を掴んで、悠介が走る。
「うおっ!悠介!どこいくんだよ!」
走って、着いた場所は
優香ちゃんが好きなパフェの
お店。
「ここ、優香が好きなんだ」
「へえーなんかいい感じ」
カランカラン
女子は多かった。
「ふたりで」
「こちらの席へどうぞー」
男子ふたりでくるのは
なんか照れくさい。
「うお!ここにもパンケーキ!」
「凛太郎が喜ぶと思って」
悠介が笑う。
あと何回こうやって悠介と
笑い合えるのだろうか。
高校は違えど、きっと
休みの日とかは会える。
「凛太郎、クリームついてる」
悠介が親指でクリームを拭う。
「こ、こんなの自分でとれるし!」
「気づかないだろ」
悠介は完璧すぎる。
こんな俺と一緒にいるなんて
信じられない。
「両思い…」
「ん?」
「いや!なんでもない!」
なんとなく口に出てしまった。
食べ終わり、帰ってる途中に
悠介が言う。
「高校、別々になっても
凛太郎はそのままでいてほしいな」
「なんだよ、休みの日とか会えるだろ」
悠介が無言になる。
沈黙が怖かった。
どこかに消えてしまいそうで
悠介が遠くに行ってしまいそうで。
「俺、悠介が好きだ」
悠介が、驚いた顔をする。
俺は悠介の目を見つめながら
真っ直ぐに見つめた。
「凛太郎、ありがとう」
その時はあんな出来事がおこるなんて
予想もしてなかった。
俺の全ては悠介だったんだ。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます