あの日の死

中崎 莉子

第1話 





 右向いても左向いても

 頭上をのぞいても同じ

 底辺のアンサー

 満ち欠ける月光の針

 戒めは宿命

 導きは神のペン



 張り倒す訳にはいかないが

 悪口はすきじゃない

 逃げるなんて今更

 正面向いて歩きだせ



 擦り切れたハンドル

 ボロボロに痛む心

 蝕まれた生活

 運命は味方じゃない



 ちからをつけるしか方法はない

 生き延びるために生きて更に屍(しかばね)





終わらない音楽の涙

 溶けてゆく夏の記憶

 封じ込めた依頼書

 出来損ないの紙切れ

 壊された未来は

 この場所から再生をはじめる



 もがいたぶんの苦しみ

 限界の道から花束を

 ひとりから本物の言葉

 見え透いた嘘を蹴散らす



 生き様に綺麗事はいらない

 見てきた者だけが知る権利

 怖気付く暇はない

 心に証が落とされる



 ちからをつけるしか方法はない

 棺は太陽に照らされる明日

 









  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

あの日の死 中崎 莉子 @sekai279

★で称える

この小説が面白かったら★をつけてください。おすすめレビューも書けます。

カクヨムを、もっと楽しもう

この小説のおすすめレビューを見る

この小説のタグ