夜の公園で丸出しにされていた尻を叩いたらクラスの金髪ギャルだった
はるのはるか
第1話 黒パンを履いた尻
彼女が足を組み替えるたびに、密着していた艶かしい太ももの肉が一度離れてはまたムチっと密着する。
規定の長さとは程遠く捲り上げられた丈の短いスカートは、当然のように役目を果たすことができずに中のものがチラリと見てしまっている。
「……今日は黒か」
毎日のようにそんなことを誰にも気づかれない声でボソッと吐いた。
決して黒ギャルと言われる褐色肌ではないごく普通の肌色だが、ド派手な金色の髪の毛と黒パンの相性は非常に良いと言える。
クラスの友達と楽しそうに談笑を続けている金髪ギャルの大岡さんは、自分のパンツが丸見えだということに気がついていない。
金髪ギャルという単語だけ聞けば、少しばかり怖い人種のように感じるかもしれないが、彼女に限ってはそんなステレオタイプに当てはまらない。
誰に対しても人当たりが良く性格も良い、それでいて可愛い。
ただギャルの見た目をしているだけの最高の美少女だ。
自席の机に大胆に座っている彼女。
そこの列の最後尾の席が俺の席だ。
彼女と俺の間には今、誰も席についておらず空いている。
ちょうど真正面の俺の席からだけ、彼女の黒パンが見えている。
他の誰にも、彼女と談笑している女子たちにもパンツがチラ見えしていることを知らない。
言わばここは教室で最も特等席であり、俺にしかできない日課だ。
両腕の肘を机につき、手を組んだまま黒パンをこの目に焼き付けた。
この休み時間、トイレ休憩すらも惜しんで堪能したせいで授業中に危うく漏らしかけた。
漫画やラノベを読んでいると、どうしても性悪だとか高圧的なギャルが多く登場している。
まぁそんな彼女たちが徐々に甘々になっていくから面白いのだが。
やはり最初から優しくて可愛い大岡さんは誰もが好きになってしまうギャルだと思う。
廊下ですれちがえば無駄に濃い香水ではなく柔軟剤の自然な香りが漂ってくるところもポイント高い。
今日もしっかりとモチベーション維持に努めて一日頑張ることができる。
「──ただいまー……」
鍵を開け、人気のない家の中に向かって帰宅を報告してリビングに行った。
バッグをソファに投げつけて制服から部屋着へと着替えを済ませていく。
「ぐえっ」
カエルの鳴き声のような音が聞こえたがとりあえずスルー、脱いだワイシャツと靴下を洗濯カゴに入れて脱いだ制服を二階の自室に持っていく。
そうして階段を降りてリビングへ繋がる曲がり角にさしかかった時、不意に人影が現れた。
「わっ」
「ぅぐ」
俺の腹に彼女の顔がめり込んで思わず苦渋の声が漏れた。
頭で腹パンしたままなぜか俺の腰に手を回して離れようとしない。
「おかえりなさい、あなたっ」
満遍の笑みをした顔をあげてそう言い放った。
幼い美少女が上目遣いでそんな言葉を言われたら誰だってドキッとしてしまう。
「………っ、変なこと言ってないでリビングに戻れ
案外力強く抱きついている真宇をそのまま持ち上げて無理やりリビングへ引き戻す。
「今ドキッとしました?お兄が真宇にときめいてしまいました」
「うっ……うるさいぞ」
年不相応にも揶揄ってくる真宇をソファに投げつける。
「うおっ!?」
投げ飛ばそうと真宇から手を離したと思っていたら、真宇がまだ俺の腰に手を回しており、二人してソファにダイブした。
空中で身体が反転して、俺の上に真宇が覆い被さるようにして乗っかった。
「おい真宇、重いから早く降りてくれ」
胸元に顔を埋めたままびくともしない様子の真宇を、肩を揺すって退くよう促す。
「ダメですよ、これは今日のお兄へのご褒美です。一日お疲れ様でした。……このまま真宇をめちゃくちゃにしてしまっても構いませんよ?」
顔を近づけてくる真宇からはシャンプーの良い匂いが漂ってくる。
心なしか髪の毛が湿っているように見えたのは気のせいではなかった。
「この時のために、しっかりと汗を流してきました。準備バッチリですっ」
実の妹は、今この瞬間に本気で兄を誘惑している。
「……それとも、体育で汗を流したままの真宇の匂いを嗅ぎたかったですか」
声とともに、その小さな口から出る吐息が俺の口にかかってくる。
「アホか、いいからとっとと退け。お腹が空いた」
「きゃっ」
軽い身体を持ち上げたままソファから立ち上がり、真宇を床に立たせた。
「さー夕飯だ、早く作って食べようぜ」
ほぼ毎日、真宇と共同で作っている。
親が揃って赴任中で家には俺と真宇の二人しかいない。
家事は真宇と割り振って行っている。
実のところ、四つも下の妹の方が何もかもできるため、七割は真宇に任せてしまっている。
料理に関しては特に真宇に頭が上がらないのだが、せめてもの償いとして手伝うようにしているというわけだ。
「……おーい、真宇?早くご飯を──…」
「スーッ、ハァー……ンンッ」
振り返ってみれば、俺のバッグから取り出したと思われるタオルに顔を埋めていた。
あのタオルは今日の体育の授業後に汗を拭いたものだ。
ついさっきシャワーを浴びたばかりだろう、と思考するよりも速く俺はこの場から飛び出した。
「───やめろォーー!!!」
晩飯を済ませてから、俺は近くのコンビニに足を運ぶことにした。
真宇からアイスを食べたいから買ってきて、ということで俺一人で来ている。
真宇には家の鍵をかけるよう言ってから、部屋着のまま財布とスマホを持ってきた。
店内に入ってからアイス売り場までは最初の通路を行った先に辿り着ける。
その途中に通りかかるのが雑誌コーナー。
ここのコンビニに来ると大抵目にする立ち読みユーザーだが、今日は特にヤバいやつがいるようだ。
「デュフッ……ピチピチのお尻さいこぉー……。舐めたい……舐めたいな」
耳に入れないように、というのは人間の構造上不可能である。
背後を素通りする瞬間に広げている雑誌にパッと目を通すと、大胆に尻を見せつけながらカメラ目線の写真が目に入った。
とっとと頼まれたチョコアイスバーと、カップアイスを冷凍庫から取り出して雑誌コーナーを避けてレジへ向かった。
レジ袋をぶら下げて、帰り道は公園を抜ける近道を使った。
夜中のため少し危険ではあるが、街の治安は良い方だと信じているため迷うことなく公園へ入っていく。
特に心霊現象なんかが起きるわけもなく、静止しているブランコに山が作られた砂場、滑り台を眺めながら歩いていく。
数年前まで真宇を連れてよくこの公園で遊んでいた時のことを思い出す。
「あっ、そういえばあれまだあるかな」
公衆トイレの裏の草木の場を秘密基地だとかいって真宇とよく遊んでいた。
そこに缶箱を隠して、なんちゃってタイムカプセル的なことをしていた。
中には数年後に向けた自分への手紙と、真宇は自分のおもちゃを入れていた。
おそらく真宇ももうそのことは忘れてしまっているだろう。
ついでに缶箱を持って帰っていくことにした。
もっとも、まだそこに缶箱があればの話だが。
トイレ裏へ向かうと、なにやらガサガサと物音が聞こえてきた。
明かりもなく暗くてよく見えないが、人影のようなものがある。
まさかこんな所で野ションでもしているのだろうか。
「いや……すぐそこにトイレあるしな」
先客のせいで仕方なく、というのなら分かる。
しかしそこにあったのは、野ションしている人の姿ではなく、こちらに向けられた尻だった。
プリッとしており、肉感のある太ももから伸びて更に肉肉しい、如何にもな尻だ。
「……じゃなくて、なんでこんなところで尻を丸出しにしてるんだよ。露出狂か?」
こう、なんとも叩きがいのある尻を前にして理性を保てなかった。
「ひゃうっ!?」
「あっごめん!」
勢いよく振り上げた手のひらで叩くと、パチンッと良い音を鳴らした。
直後に声が聞こえて反射的に謝った。
つい叩きたくなって叩いてしまった、と素直には言えない。
声を上げた尻は黒いパンツを履いていた。
そしてその黒パンをよく見ると、まだ記憶に新しいスカートの中から覗かせていた黒パンだった。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます