1540年 佐助7歳 自分の畑作り 炭作り 津島神社
「おお、増えてる増えてる」
「すごい量だな」
「こんな小さな畑でこんなに穫れるのか!」
薩摩芋の収穫時期になり、ツルにしたがって薩摩芋を掘り起こすと、ボコボコと大きな薩摩芋が地面か顔を出した。
「こりゃすげぇ!」
幸之助、虎徹、伏龍丸、智含めて皆大喜び!
掘り起こした芋を早速焼き芋にして食っていく。
「甘い!」
「うみゃい!」
「なんだこれは!?」
芋なのに甘いことに驚愕し、皆焼き上がったら我先にと食べていくが、それでも多くの薩摩芋が残る。
「これ家に持って帰っても良いか!」
「おっかあやおっとおに食べさせたいだ」
「それは勿論! でだ、こいつは飢饉の時でもいっぱい実ってくれるから、万が一の食料にもなる。親達を説得して畑の隅にでも植えといてくれ」
「おう任せろ!」
「こんな美味い物は是非ともそだてねーとな!」
子供達は収穫した薩摩芋を持って家に帰るのだった。
俺の家も薩摩芋を持っていき焼き芋にしたり、刻んでご飯や味噌汁に入れたり、ツルも乾燥させてから刻んで味噌汁に入れたりして種芋を除き美味しく食べきるのであった。
「最近色々な物を食べてるからかガッチリしてきたな」
今年は米の収穫が例年通りだったために蜂蜜を売却して得た利益も合わせてご飯が充実していた。
それにパンやたまに肉が出るようにもなり、皆の体も肉が付き始めていた。
「良い身体になってきたなら使わない手はねーな。よし、槍とか刀を習うことできねぇかな」
親父に相談してみると野武士の人が技術を教えてくれる教室を開いていると言われ、確かに佐助は武芸が無いと独立できないなと言い、月謝払ってやるから学んでこいと言われた。
モブ田モブ衛門と俺は呼ぶことになる本当にどこにでも居るような先生から槍術や剣術を学ぶが、剣術は前世でやっていた剣道の方がまともだと判断し、早々に槍術だけを勉強することにした。
で、練習方法と型を覚えたらあとはこんな先生に月謝払うのはもったいないので、自主練をするようになる。
朝の水汲みと洗濯(ホームセンターの業務用洗濯機で一気に洗う)をおこない、洗濯している最中に駐車場で角材を削って作った木槍と木刀で自主練をする。
洗濯が終われば家の前で干して蜜蜂の巣箱の様子を確認して川に罠をセットしに行く。
そこから畑仕事を手伝ったり、ダチとつるんで遊びに出かけたり、寺で勉強したりと色々である。
そんな最中また天啓が降りる。
『やぁやぁだいぶガッチリしてきたね』
「あ、神様。お久しぶりです」
『うむ! 今日も天啓を与えに来たよ。まずは炭団を作ってみようか』
「炭のカスで炭団子みたいにするやつですか……現状だと作れないっすね」
『なんでさ!』
「そんなカスでも普通に燃やすので残らないんですよ。となると炭を1から作る必要がありますし……あ、でも炭作れば家計の足しになるか。ちょっと工夫してみます」
『うむうむ! あとはそろばんとかどう?』
「現状村で作っても利は少ないかもしれないですが、周りに算術を教える教材としては良いかも? 簡単なんで作ってみますわ」
『洗濯板を商人に売り込むとかは?』
「もう村人の誰かが先にやってますし、他の村でも広まり始めました」
『むむ! じゃあ熱田か津島に行くのは?』
「うーん、そしたら何か売れる物を持っていった方が良いっすよね。ちょっと親父に相談してみて売れる物を作るための畑を作ってはいけないか相談してみるっすわ」
『じゃ! 頑張りんさい!』
そう言うと神様は消えていった。
「今の評価なら畑を開墾すれば使っていいって言ってくれそうだよな……よし!」
親父とアニキに開墾するから少しでいいから自分の畑を持ちたいと言うと米以外の物なら作っても良いと言われ、村の隅にある雑木林を村の人の許可を取ってからなら開墾しても良いと言われた。
親父とアニキの根回しのお陰で雑木林の一角を自由に使っても良いと村長から言われ、雑木林は他の田畑から離れているのである程度大きな音を出しても大丈夫そうだ。
俺はホームセンターからチェーンソーと草刈り機を持ってきて日中の皆畑仕事を終えて家に帰って休んでいる時間を狙って外から見える木だけを残し、中の木をガンガン切っていった。
一部は椎茸栽培ができるように丸太にし、草刈り機でガンガン草を刈り取り、燃やして畑へと変えるのであった。
5畝分の畑を冬の1週間で作り、ホームセンターの煉瓦で木炭用の竈を作り(外見は土を盛って偽装)、伐採した木や竹をどんどん木炭にしていった。
【働き過ぎで健康が下がった 自分の畑を手に入れた 自分の竈を手に入れた 木炭4俵手に入れた 炭団1俵手に入れた】
作った木炭を持ってアニキと一緒に津島まで出かけた。
熱田でもよかったが、大黒の兄さんが津島で販路作りを頑張っていると聞いたので、大黒の兄さんの伝手で売り込みができないか画策していた。
こっちは座の権利が無いので勝手に他の人に売ることができないからね。
俵を背負ってえっちらおっちら歩き、1時間かけて津島に到着。
「ふぅ、ついた」
「流石津島、栄えているなぁ」
大きな川の間にある津島の町はそこから港町へと物資を運搬する集積地として栄えていた。
ちなみに津島神社もあるため観光業でも一定の需要があった。
「大黒兄さんこんにちは!」
「おお、伊達に佐助か! 秋ぶりだな」
「大黒の兄さん店持ったのか?」
目の前には大黒屋と書かれたお店がある。
「ここは俺の兄さんの店だ。俺はまだまだ行商人よ」
「へぇー」
「今日はどうした?」
「炭を作ったので売りに来ました」
「炭となると……炭屋の源六の所で売ると良い。どれ、一緒に行ってやろう」
「ありがとうございます」
「ありがとな大黒さん」
「なに、困ったらお互い様よ」
そのまま数分歩くと炭屋と書かれた店の前に到着した。
「源六! 炭を売りたいお客さん」
「あいよ! おお、大黒の四男坊じゃねぇか」
「うちの知り合いが炭売りたいから源六の所を紹介してな」
「大黒の紹介なら確かだな。炭を確認させてもらうぜ」
俺は俵から炭を出すと炭屋の源六が炭の確認をする。
「おお、こりゃ上物だな。炭が鉄みたいにカンカンと硬い音がしやがる。これなら1俵2貫ってところかね」
「じゃあそれで。今度また持ってくるからその時も頼みます」
「おう、この質ならいくらでも買い取るからじゃんじゃん持っていな」
3俵あったので6貫ほど金を貰い、アニキに分け前を相談すると駄賃とか家の食料として味噌を買いたいから2貫貰うぞと言われた。
俺は4貫ほど手に入れ、味噌屋に向かった。
「毎度あり!」
味噌屋で味噌を買い、せっかくだからと津島神社を参拝したいと俺が言ったら、大黒の兄さんが
「買った味噌はこっちで預かっておくから行ってきな」
と言われ、アニキと俺は頭を下げてお礼を言い、津島神社へと参拝に向かうのだった。
津島神社に行くと巫女さんが掃除をしていたり、神主さんがお祓いをしていたりと忙しそうにしていた。
俺とアニキはお参りをしておみくじをせっかくだからしていこうということになり、おみくじを売る巫女さんの所に行く。
「あらあら、可愛らしいお客さんね」
俺より少し年上の巫女さんが相手をしてくれ、おみくじを引かせてもらう。
「末吉だ! 佐助はどうだ?」
「大吉! 近々出会いがあるって」
「ほう、いいじゃねぇか」
するとこちらをじっと見ている巫女さんがいるのに気がついた。
巫女……よりは年齢がいっているので恐らく神主の親族の方だろうか。
「お二人さんちょっとこっちに」
俺らが呼ばれると
「あんた達普通の農民で終わる気配がしないね。偉くなるよ! 特にちっちゃい坊やは織田の殿様と同じ気配がするねぇ」
「本当ですか!」
「ああ、オババは嘘つかないよ。おーい、霞や」
「何? 母様」
先ほどおみくじを売ってくれた巫女さんが出てきた。
「この坊やと縁を結んでおきなさい。彼偉くなるよ」
「あらあら、坊や名前は? 私は霞よ」
「俺は佐助、中村の佐助だ」
「佐助ね。また来た時はお茶でもしましょ!」
霞と出会ってその場を後にした。
アニキからは
「美人な巫女さんだったな。早速おみくじの出会いの効果じゃねえか?」
と茶化された。
大黒兄さんの所で預かっていた味噌を受け取り、あと野菜をいくらか買って中村に帰るのだった。
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