1539年 佐助6歳 養蜂
1539年 佐助6歳
三好長慶上洛
大内氏が勘合貿易の利益を独占
近畿が洪水で水害多発
川魚によってタンパク質はある程度確保できているが、肉はなかなか食うことができない。
大豆は貴重な換金作物として売って粟や稗に交換し、食事の足しにするため、なかなかこちらまで回ってこない。
というわけで換金して食事を少しでも豊かにするために養蜂に手を出した。
「言われた木箱は作ってみたが、本当に蜂の巣になるのか?」
「5つ作って1つ巣を作れば良いくらいだな。アニキにも話したがやってみろって言ってたし」
俺も養蜂はあまり詳しくは無いが、某アイドルの番組で養蜂をやっていたのを思い出し、一時副業としてできないか調べた事があった。
そこで蜂蜜が採集できれば村の大きな資金源になるのではないかと思い、親父に提案をしてみた。
「ふむ確かに蜂蜜が採れるようになれば大きな収入源となり、領主様の覚えも良くなるだろうが……相当量の木材が必要になるのではないか?」
それについては考えがあり、ホームセンターの木材を使おうと思っている。
木材については廃材で使えそうなのを使うと言うと、村社会は結果がでなければなかなか動くことはできないと言われ、子供でもできるのがわかれば大人も言う事を聞いてくれるだろうと言われた。
つまり父親の真鱈は成功したら村人の説得をすることはできるが、それ以上の事はできないと伝えられた。
なのでこうして幸之助と一緒に蜂の巣を作っていたのだ。
「幸いアニキは協力的だ。上手くいけば食事の質が上がるし、蜂蜜は高級な薬になり、蜂の子は食料にもなるからな」
「これはめんどくせぇとか言ってる場合じゃねぇもんな」
本当は智にも協力してもらいたかったが、智のところは木下のおじさんが亡くなったり、なかさんが竹阿弥のおっちゃんと再婚し、また子供が産まれたりとドタバタしていてとてもではないが遊んでいることができない状況だった。
なので俺と幸之助が中心となり養蜂をやろうと頑張っていた。
「よし、巣箱も7つ用意した。あとは設置して蜜蜂が住み着いてくれるのを願うしかねぇな」
「まだ材料あるならもう少し作っておかねぇか?」
「それもそうだな。よしもう少し作るぞ」
結局巣箱を15個作り設置し、様子をみることにした。
ブブブーン
「住んでる住んでる! この巣箱も成功だ!」
なんと15個中10個の巣箱に蜜蜂が巣を作り、最初の蜜蜂を招き入れるのには成功した。
そしたら夜に親父に協力してもらい、蜜蜂が寝静まった夜に箱をゆっくりと養蜂に適した場所に移動させる。
昼間だと働き蜂が飛び回ってしまうためだ。
移動を終えると野生の動物が入ってこないように柵を作り、あとは定期的に確認するまで。
俺も養蜂の専門ではないのでこれ以上はわからん。
入らなかった巣箱も洗って来年分蜂するために取っておく。
これで多少は甘味も得ることができるだろう。
子供達の健康促進の為にラジオ体操を普及した。
こうすれば少しは体の動かし方や体のコリをほぐすことができるだろう。
農作業で同じ動きをするし、作業前にすることで怪我の防止にもなる。
最初は奇妙な踊りと思われていたが、体操をすると体が柔らかくなるのを実演すると周りも真似をし始めた。
一番はアニキが皆にやれと号令したのも大きいが……。
でも体の不調が良くなったという声が多くなると大人達も子供に教えてもらって真似をするようになった。
大人達の方がコリが解れると好評で、毎朝眠気覚ましにラジオ体操をする家庭が増えていくのであった。
【健康が上がった】
川魚を多く獲っている事が他の村の子供にもどこからかバレたらしく、隣の村の子供が川魚を奪いに襲ってきた。
アニキが子供達を集めて石合戦が始まった。
俺達はまだ小さい子供ということで石を集める係で、アニキ達がガンガン石を投げていく。
「痛いよー」
「お腹空いた!」
「逃げろ!」
アニキ達年長組が頑張り、隣の村の子供達を撃退することに成功し、勝鬨をあげる。
こちらには大怪我の人はでなかったが、隣村の子供だろう頭がぱっくり割れて死んでいる子供も出ていた。
石の投げ合いをしている以上こういう事故は防ぐことができないが、頭を守る何かが欲しいところだ。
唐傘とかあればまた違ってくるのだろうか?
亡くなった子供はそのまま放置というわけにもいかず、皆なんで俺たちが弔うんだよと文句を言いながら地面に穴を掘って埋めるのだった。
親父から農業が落ち着き、夏場なのに合戦も無かったので文字を習うことにした。
ひらがなと漢字覚えてるからなんとかなるだろうと思ったが、文字が崩れていてとにかく読みづらい。
書くのも繋げて書くのが一般的なのでほぼ暗号である。
もうこの際字の綺麗さはどうでもいいのでとにかく読める文字を書くことに集中した。
しかも字の練習は地面の上に書いて覚える形なので字を保存しておくことができない。
紙は高くて農民には手が届かないし、そんな金があるなら食料を買うわな。
それでも必死に字を覚える俺の姿を見て親父は
「うーむ、もっと勉学を学んでみるか?」
そう提案してくれた。
俺は是非とも学びたいと伝えると今年の収穫量が良かったら考えてやると言ってくれた。
ただ親父のお陰で夏の間に簡単な読み書きはできるようになるのだった。
待ちに待った秋、智も家が落ち着き、養蜂の様子を見に来た。
と言うよりも家の親父や智の継父の竹阿弥のおっちゃん、幸之助の親父や中村の村長や村の顔役達も養蜂の様子を見に来た。
俺が巣箱から蜂の巣が3枚になっているので1枚取り出し、蜜蜂をヘラでかき取る。
皆それを指で舐め取り口にいれる。
「甘い……蜂蜜ってこんなにも甘いのか」
「おら初めて食べただ」
「こりゃうっめぇな」
「何が良薬口に苦しだ! 薬でもめちゃくちゃ甘えのもあるでねぇか!」
大人達はそう口々に言う。
「村長これは」
「ああ、村の財産になるな」
川魚を捕るとは違い、蜂蜜は超高級品。
それこそ天皇とかに寄贈されたり大陸への輸出品になるくらい金になる物である。
俺も独占できるとは思っておらず、親父に蜂蜜が想像よりも採れる事を話すと村の大人達を集めてくれた。
「佐助の坊、これ毎年採れるんか?」
「恐らく、やり方さえ間違えなければ同じくらいの量……上手くいけばもっと増やせると思いますが」
「幸之助、作り方はわかるな」
幸之助の親父が聞くと
「おう、ただ木材を結構使う」
「いや、この際木材は気にするな。蜂蜜の量次第では元は全然取れるからな」
そう幸之助の親父は言う。
あとは蜂の巣の注意点として3枚の蜂の巣のうち1枚残さないと蜂が冬を越せなくなり、死んでしまったり逃げてしまうこと、定期的に女王蜂を見つけて他の蜂の巣に移動させる時には3組のうち1枚の蜂の巣ごと移動させること、蜂の子を食べるのも良いが、食べ過ぎると次世代が育たなくなり逃げ出してしまうこと等を伝えた。
正直巣の出し入れをする時に刺されないように注意すれば手間は殆どない。
あとは蜂の巣を多く置き過ぎれば蜜源……蜂の餌が無くなり逃げ出してしまうということも伝えた。
「佐助の坊は詳しいな。よくわかったな」
「実は去年からこっそり巣を作って勉強してまして……」
軽く嘘をついたが、村の大人達は気にしない。
どれぐらいで売れるのかとかこれで病気になっても大丈夫だべとか言っている。
「あ、蜂蜜なんですけど赤ん坊が食べると死ぬらしいんで薬ですけど毒にもなるんで気をつけてください」
「おお、そうなのか。体に良いからてっきり赤ん坊にも良いと思っただよ」
と赤ん坊がいる村人が言う。
その後子供達も集めて村人の男殆どで養蜂の講習を俺が行い、蜂蜜採集を踏まえてやるのだった。
蜂蜜と蜂の子、それに蜜蝋をゲットし、大人達に蜜蝋でロウソクを作ればこれも売れるのではないかと提案したら大人達は大喜びであった。
で、村長と村の役員の数名が中村から徒歩1時間ほどの場所にある熱田と津島の町に売り込みに行き、1斤(340グラム)でも10貫ほどで買い取ってくれた。
ちなみに今回採れた蜂蜜の量が50キロなので斤どころか升の単位である。
売れば1400貫にもなる。
ちなみに中古の刀が500文、新品の刀が1貫から5貫、現代換算で1貫12万円にもなる。
どれだけ莫大な金額になるかは分かるだろう。
村の大人達は血印状を作り、養蜂の技術を秘匿する事を決めるのであった。
で、養蜂の金は実際に作った俺の家と幸之助の家は1箱分の利益を得ることを許され、他の家は皆人員を出し合って採れた分を山分けするという決まりになった。
村八分にされてなければ1家当たり10貫前後転がってくる計算だ。
これだけあれば戦用の武器も買えるし、農具も鉄製のが買えると皆大喜び。
俺と幸之助は神童と村人から一目置かれるようになり、親父も今回ので大儲けできたので米の収穫量はやや不作気味だったが、町で蜂蜜売って不足分を買ってなお新しい鉄製農具を買えるくらい金に余裕ができたので寺に俺とアニキを勉強に行かせてもらうことができたのだった。
【村人の評価がカンストした 村の収益状況が大幅に良くなったた 健康が上がった 力が上がった 知力が上がった】
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