第14話

そこで俺はまた黙って、鳴ったスマホを開く。



龍からのメールには『悪い、弟来た。』とだけ表示されていて、それに返事をした俺はその場所をあとにした。









数十分後、辿りついた龍んちのアパート。



チャイムを押して数秒待つと、何も言わずにドアは開かれ、中から酷く面倒くさそうな顔をした龍が出てきた。





「……お前まだマフラーしてんの」




「……悪いか」





既に濃紺の長袖を腕捲っている龍の前で、マフラーに顔を埋めて言う。



花粉。



…花粉症だから。





「悪くはねぇけど。風邪は治ったんだ?」



「それ先週の話じゃん」



「瞬、先々週も引いてたよ」


「うっせ」




はいはい、と呆れた顔をする龍は短くごめんなと言って、部屋の奥に振り返った。

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