第2話
「「おぎゃ―、おぎゃ―!」」
「ほーら、亜子。おいで」
お腹の大きなお母さんが、ベッドの端に突っ立っていたあたしを呼んだ。あたしは小走りで駆け寄る。
お母さんの腕には生まれたばかりの赤ちゃんが抱かれていた。
「この子は楓くんっていうんだって。お母さんと一緒に抱っこしてみよっか」
あたしは恐る恐る手を伸ばして、その生まれたばかりの小さくて暖かい赤ちゃんに触れる。
「こんにちは!あこだよ!」
「ぷっ!亜子、そんな近くで大きな声で言わなくても赤ちゃんはちゃんと聞いているわ」
――――この世に元気な双子が生まれた。
名前は、颯(ハヤテ)と楓(カエデ)。
あたしが落としそうになりながらも抱っこして、顔を近づけると、その子はじっ…とあたしの顔を見た。
「わあー…」
あたしは赤ちゃんの小さくて黒目がちな目を見つめた。
それを見たお母さんは大きなお腹を抱え、隣のベットに横たわる、この双子のお母さんと目を合わせて微笑み合った。
「亜子ももうすぐでお姉ちゃんね」
「うん!」
「亜子ちゃん、よろしくね」
双子のお母さんはそう優しく微笑んで、あたしの頭を撫でてくれた。
その時のあたしは、二歳。
生まれた双子の男の子は、あたしの家のお隣さん。
丁度あたしのお母さんと予定日が近かったんだって。
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