第108話
( - 朝 希 - )
20:17
「サキセンパイ!!」
「ハイミサキちゃん!」
月が輝き、暗闇を照らす夜。
ガサゴソと草むらから姿を現した彼女に若干ビクリと肩を震わせて振り返れば、「お疲れさまでございました!!」とさっき声を掛け合ったであろう台詞が再び勢いよく浴びせられる。
「…うん」
この後何かいい事でもあるのかな。
二度も挨拶してくれるなんて、とばいばいと手を振って向き直り、歩き出してすぐチェスターコートのぽっけからスマホを取り出して操作。
ミサキちゃんじゃないけど、ぼくにはあった。『いい事』。
大切なこが常連の飲み屋に居ることが判っているのだけど、肝心の相手は電話に出ない。(どうして居場所が判っているのかは、また今度。)
けど。心配は無用。口元は弧を描いてコートの裾は踊る。
ぼくはスマホをぽっけに戻してそのまま手を突っ込み、その歩みを目的地に向って少し、早めた――。
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