第90話
「…聖ぃ」
「ン」
もう……もう何ナノォ
「聞いた方が赤面するような答え返す花吹」
「うんうんうんうん」
……あっ。
思わず声に出ちゃっ……。
「…………」
目がテンになったままこちらの後ろの席へ振り返った花吹さん。
柵越しの私と目が合っているか否かも判らない。
「……へへ、へへ…すみません」
「!?!?!?!?」
「ワアッすみませんすみませんすみません花吹さん正直言うとあのその盗み聞きしていて軽蔑してくださって構いませんすみませんアアもう、もう触りたくなくなっちゃいましたか!?!?もう!?!?」
「……っ!?ッ、ェ、触」
瑞樹さんが頬杖をついてコチラを見ている。
この…やろう。
私に気が付いていてわざと花吹さんにあれこれ振ったのか……このやろう!
ありがとう!!
「あれ、あかちゃん。お疲れ」
櫻井さんは呑気にそんな挨拶をしてくれている。お疲れさまです。
沢山の大人な子どもの面倒ご苦労さまです。
「花吹?」
そのまま、ふんと綺麗な睫毛が目立つ横顔を見せて櫻井さんは花吹さんへ、声をかけた。
「宇乃に、触りたくなくなったんだ?」
「……」
ごめんなさい花吹さん。
大人しく花吹さんを見つめていると、ふと。
指先が伸びてきたかと思えば私の頬に優しく甘く触れた。
「宇乃さん、ごめんなさい」
「あ…。私の方こそ…」
「……あれは本心です…」
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