第51話
空いた手で引かれた顎。
含んだ水はコク、コクン…と音を立てて素直に開く口の中へ零されていく。
柔く温かいそれを確かめて、自分の冷たさを知って。
「っ」
びく、と彼女から零れた小さな吐息。
拾って。
掬って。
更に深く、くちづける。
瞬く合間の体温で温められた水が口移しされて彼女の体内に這入っていく。
喉の上下する音が耳に届き終るまでのあいだ、唇を離さないままで彼女の恍惚とした瞳を見つめた。
ごめんと、すきだよと、かわいいが、壊れたみたいに巡ってる。
「……、ぅ」
零れかけた雫を掬って、離れる唇。
どちらからともなく留めきれなかった水滴はソファへ落ちて染みを作った。
「……」
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