冬のほっぺ
君が、今の恋が一番幸せといえますように
第1話
「触りたくて仕方ない……」
そう口にした途端、ゴッフオォッ!とどう見ても身体の調子をおかしくしたであろう音を発しながら水で咽た宇乃灯。
元直属のブカである。
その隣で白目を向け灯の背中を擦りながら全身で俺を否定しているのも、同じく元ブカの河合まどかであった。
「気持ちが悪い。激しく悪い」
「ゴッ、ゴホッ!!ゲホゴホッ!」
「うのさん!大丈夫ですか!?しっかりしてください!!ヒッヒッフーです!!深呼吸して!」
河合が灯に敬語なのは文字通り彼女を敬っているからなのと、単に同期入社とはいえ河合がひとつ年下だという理由がある。確か。
「ゲホゲホゴホッ」
「うのさん…っ、おのれ貴章……!!」
「ゲホゴホ、ゲッホ!!ゲッホォオ!!!!」
「そんなに?」
スッ……と姿勢を正した灯。
「あ、演技です」
「タチ悪ぃな!!?」
「私は本気です。本気で気持ちが悪いと思います」
「あ……。どうしよう本気の人いた」
「ええ」
お昼休み。
本社ビル1Fのカフェで、昼食後の時間を持て余している時の切り出しだった。
因みに俺はつい最近一年近く片想いしていた女性に想いが通じてお付き合いを始めたのだ。
話はそれである。
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