第4話

「河合」


オフィスにてデスクワーク中の私の指が、上司にかけられた声によってキーボードを叩くのを止める。


椅子を軋ませて振り返ると、上司とその手中にある幾枚かの書類が目に入った。




「この企画書まとめたら提出して」



「はい」


今手元にある仕事を早く終わらそうと、常に私の手は忙しなく動いている。

でも現実は甘くはないから仕事が終わる前に次の仕事が舞い込んでくる始末。



甘くなんかない。




ささっと引き下がろうとする上司に向かって、私は待ったをかける。



「いつまでにですか?」

「あぁ、それ。一応再来週」


「…、」



私はキンキンに冷やした目でなくなく承諾した。




上司の背中を見送って、若干反論したい気持ちを抱いたままpc画面に視線を戻す。


こっちもやらないといけないのに。


嗚呼、ちくしょう。

私はチラ、とオフィス内の時計に目をやる。



残業せねば。




はあ、と息をついて椅子を引いた。

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