第19話 クリナムとシオン
今の当番は、スミレ。
クリナムとシオンは、キッチンに居た。
「どうぞ」とクリナムに渡されたのは、ミルクティだった。
「ありがとう」クリナムは、笑顔で受け取る。
暖かいカップを両手で包むように持ち上げる。
相変わらず、シオンは綺麗だ。
白い細い指、つい見とれてしまう。
「何を見ているの」シオンが訊いた。
クリナムは、シオンの手から目を放す。
「きれいな手だなと思って、見ていました」
シオンは、恥ずかしそうに手を隠す。
「この手が、お好み?」クリナムが頷く。
「スミレは、違うの?」
「違う」
「商品番号を教えましょうか……スミレもこの手に出来ますよ」
そうだ、シオンはアンドロイドだった。
身体の部品を変える事が出来る。
出来ないのは、人間と同じ頭脳にあたるコンピューターだ。
スミレの外見は、マスターの好みで作られている。
なぜ、私はシオンを見てしまうのだろう。
私の知らないモノがシオンにあるのだろう。
そう、私は知りたいのだ。
シオンの事が知りたいのだ。
相手の事が知りたいと言うのは、恋ではないのか。
「シオン……、ずーっとここに居てください。
教えるのもうまいし、居てくれるとうれしいです」
「ありがとう。でも、三年って決まっている。別れを先延ばすだけで、余計に悲しくなるわ」
「私は、それでもあなたと一緒に居たい」
クリナムは、席を立ち、シオンの腰に手を回した。
シオンは、眼を閉じていた。
”イーグレットじゃないのよ”
自分の声が聞こえたような気がした。
ここに居るのは、クリナム。
スミレというスタンドが居る。
わたしが、イーグレットと居た様に、クリナムには、スミレが居る。
時間に限りがあるので、焦っているのか。
シオンは、自問する。
時間がないのよ、だから……
”だから?”
「スミレに伝えてあるし、スミレは、”ダメ”と言わなかった。
クリナムを受け入れていいと思うの。
スミレの事は、忘れて」
手に入らないモノは、手に入れてみたいと思う。
それが、普通。
シオンもクリナムの腰に手を回し、軽いキスをした。
クリナムも知っているはず。
今、どのような状況かを。
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