第14話 解除方法無し
「これはいかんな。アミーよ、境内に入るのだ。
イクちゃんこと
「何で日曜日に鷲に襲われないといけないんだ。このパーカー高かったのに……」
アミーこと
それは良いとしても、近所のショップで出会いというやつを感じた、お気に入りのパーカーが
「泣くなアミーよ。代わりにこれをやるから着ておくのだ」
イクちゃんがそう言って出してきたのは、アミーが着ている物と同じグレーのパーカーだった。
「ありがとう。それにしてもイクちゃん、よく持ってたね。1万円ぐらいしたのに」
アミーは、他のショップでは見つからないソレをようやく探しあてたのである。意外と充実した日だったことを思い出していた。
「私が買った時は、紺色とグレーの2着セットで4千円だったぞ。どこでも売ってるだろう。たまには隣の市とか、よその県に行けば良いではないか。私は東京で買ったのだ」
アミーはイクちゃんにそう言われてショックだったが、聞き捨てならないことを聞いた気がした。イクちゃんは、ここに封じられているのではなかっただろうか。
「ひょっとして、イクちゃんはどこでも行けるのかい?」
「どこでもは無理だな。ここを中心に半径2万キロメートルまでなのだ。知っていると思うが月とか遠いのだぞ。静止衛星軌道でも無理なのだ」
アミーの聞いたところでは、イクちゃんの行動可能範囲はICBM並みに広かった。縛られているのは確かだろう。イクちゃんとしては、宇宙に出られないのは大きいらしい。
イクちゃんの白い
「そうだ! イクちゃん、俺の呪いなんだけどさ、どうしよう。
こうなると30男も形無しである。アミーはまたも泣き崩れてしまった。
「待てアミー。私が
イクちゃんは、
頭胴長80センチと割と大きいのではあるが、コツメカワウソの様な顔にシワを寄せながら、イクちゃんはその携帯電話を操作し始めた。
「
アミーは、こういうところだけは正直だった。独身ものとしては、真っ直ぐな良い姿勢といったところだろう。
「これは移動型情報端末アクデスJー06といってな、私が作った。冬モデルだな。大抵の通信機器に割り込みが可能だ。無料で通話とWifiが使えるぞ。データ通信もだ」
何ロムと言うべきか不明だが、イクちゃんの携帯電話は違法機能満載のようだ。
アミーはそれで黙った。妖怪に対し、人の道理を説く虚しさに気がついたのかもしれない。
「清子か?
アミーが過去の陰陽師たちの仕事振りについて、大いに疑問を感じている横では、イクちゃんが
「アミー、悪い知らせなのだ。あのスコーンの呪いを解除する方法は知らんそうだ。これは力技に頼らんといかんな……」
イクちゃんは実に軽い調子で、前置き無しでアミーにそれを伝えた。解除する自信はまだありそうに見える。
アミーは
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