俺が吹き飛ぶと桶屋がもうかる
お前の水夫
第1話 盲腸
日本の某地方にあるM県
市街地にはネズミと猫が多く、カラスもいるのは都会もそうなのだが、通りにはガマガエルやマムシ、鷹などの
そんな土地で、
「アミー先輩、それじゃワタシはお先に失礼しますね。お疲れ様ですー」
彼がアミー先輩と呼ばれているのは、苗字である『
実のところ彼は、15歳の頃にこの土地に来る前からこの
「さて、俺はもうちょっと頑張るか……」
それで若いにも関わらず、日頃の
「ウウッ、痛たたたた。何だこれ……物凄く痛いぞ。なんだか笑いたくなってきた」
人間は洒落抜きで痛い場合に、叫ぶのではなく笑いたくなることがある。痛む腹を片手で押さえながら、
自分で救急車を呼ぶ必要が生じると、財布と保険証の場所が気になり出したのである。
「おい、アミー。お前、顔色が酷いことになってるぞ。トイレ……じゃなさそうだな。痛いのか? もう、どうして声をかけないんだよ。誰か! 救急車を呼んでくれ!」
こういう時、職場に人が残ってくれていると本当にありがたいな、と
この時の
彼の病名は平たく言えば急性
「
消化器外科の医師は人情味のある人物だったが、
彼が病気から回復して仕事に復帰する頃には、彼の周辺でも意外な変化があったように見受けられた。
彼の勤め先は、地元のケーブルテレビ会社で『株式会社マンマーTV』という。
その近所に、国内大手の重工業系企業が工場を建設する計画を立てた。
さらには近所の商店街が民放のニュースでクローズアップされ、客足が増えると同時に空き店舗が全部埋まるということが、彼が入院していた12日の間に起こっていた。
「何か賑やかになってきたなぁ……。ここもその内、人が増えて、お客さんも増えてくれるかもしれない」
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