第2章…ペット

金髪巨乳美少女に起こしてもらいました

※涼馬視点




―――




 すべてを失った俺は楓ちゃんの家に泊まった。

布団がものすごく心地良い。金持ちの家は布団まで特別製なんだな、すごいな。


しかし、いくら布団が良くても俺自身が弱っていれば快適な睡眠を得るのは難しい。


雲母にフラれた瞬間や仕事をクビになった瞬間がフラッシュバックして悪夢でうなされた。


行かないでくれ、雲母……




 「―――て」


……?


「―――おきて」


? なんだ? 暗闇の中で声が大きく響く。


「起きて!」


大きな声だが、すごく落ち着く声だった。あったかい……



「起きて、涼くん!」



「!?」



俺は目をカッと開いて目覚めた。

目覚めると同時に、布団で寝る俺の上に何かがずっしりと乗っかっている感覚があった。



「あ、起きた? おはよ、涼くん」


「か、楓ちゃん!?」



俺の上に制服姿の楓ちゃんが覆い被さっていた。もう制服を着ているということは、楓ちゃんはすでに学校に行く支度は済ませて、それで俺を起こしに来てくれたのか。

いや起こすにしてもなんで俺の上に乗ってんだよ! もっと別の起こし方があるだろうがよ!


っていうか、近い! 近い近い!

楓ちゃんの顔が目の前に。ここまで近づいてドアップになっていても完璧に整った可愛い顔がそこにあった。


顔が超近いってのもすごくドキドキするけど、それ以上に俺を狂わせるものがあるんだけど。



むにゅっ


「……っ!!!!!!」



俺の腹のあたりに、柔らかい胸の感触をハッキリと鮮明に感じる。布団越しでもわかるくらいの張りのある弾力感。つい視線を下げると、俺の上でむにゅっと押し潰された豊かな膨らみの光景が広がっていた。


大きな乳房の柔らかさを知覚するのは初めての経験で、宇宙に放り投げられたような衝撃が全身を駆け巡る。


脳が命令しなくても、反射的に神経のすべてが胸が当たっている部分に集中する。脳内にピンクの靄がかかったように情欲を煽られた。



「どうしたの涼くん。顔が真っ赤だよ?」


「いや、これは……っ」



挑発的に妖艶にクスッと微笑する楓ちゃん。形の良い艶かしい唇も俺を狂わせる。

そして楓ちゃんはすごくいい匂いがする。フェロモンを備えた彼女のいい匂いがさらに俺の脳髄をドロドロに溶かしていく。


や、ヤバイ……男の部分が硬く大きく膨らんでいく。自分でも止められない、意識すればするほど血流が溜まる。これはどうにもならない、不可抗力だ。

今は本当にまずい。布団越しではあるが楓ちゃんが俺の身体と密着している状態なのに。今勃起したらすぐにバレる。



「か、楓ちゃん! ちょっとどいてくれないか!?」


勃起してるのを気づかれたくないというのが一番の理由だが、単純に楓ちゃんが乗ってると起きられない。


「どうしてそんなに慌てているの?」


「な、なんでもないよ! いいから早く……!」


「……ん? ……あ……」



あ……勃ってるのがバレた……楓ちゃんの反応を見ればわかる。楓ちゃんはハッとしてピシッと固まって動かなくなった。

一部だけ硬く熱くなってしまっているので、俺の上に乗られたままでは気づかれないようにするのはかなり難しかった。


楓ちゃんのほっぺたがカーッ……と赤く染まっていく。さっきまであんなに余裕そうにしてたのにそんなに恥ずかしそうにするな。こっちも余計恥ずかしくなるだろうが。



「…………ご、ごめん、涼くん」


「いや、こっちこそごめん!」


謝られるとさらに恥ずかしくなる。穴を掘って埋まりたい。


やってしまった……女の子に男の器官を当ててしまった……ただの変態だ……

彼女の子供の頃の姿を知っている分、余計に罪悪感と自己嫌悪感が凄まじい。



「そ、その……これは違うんだ楓ちゃん! 男の生理現象というか……」


言い訳したところでさらに惨め。確かに生理現象もあるだろうが、楓ちゃんの柔らかな女体といい匂いで勃起したのは事実だ。



「う、うん……全然気にしないから大丈夫。でも……涼くんも男の子なんだなって……」


「っ……と、とにかく早くどいてくれないか?」


「うん、ごめんね……」


おとなしくなった楓ちゃんはやっと俺の上からどいてくれた。俺はガバッと飛び起きる。



「だいたい、なんで俺の上に乗ってんだよ。起こしてくれたのはありがたいけど普通に起こしてくれよ」


「だって、涼くんうなされてたからつい……」


「そ、それは……ちょっとイヤな夢を見てしまってな……」


「そっか。じゃあ私の夢しか見れないようにしてあげるよ」


「ッ!?」


上目遣いでそんなことを言われ、俺の心臓は激しく波打った。

朝っぱらから心臓に悪すぎるなこの子は……



「ところで涼くん、いろいろ言ってたけど結局私の家に泊まったよね」


「あ、ああ……」


何も間違ってないけど言い方がエロい……楓ちゃんが言うとどんな言葉でもエロくなる気がして困る。


「それで、私の家に住むということでいいのかな?」


「ああ、迷惑じゃなければ住まわせてくれるとすごく助かるけど……」


「全然迷惑じゃないし何も問題ないね。これからよろしくね、涼くん」


「ああ、ありがとう。よろしく楓ちゃん」


楓ちゃんマジで命の恩人だ。心の中でたくさん拝んだ。



「ああそれと、昨日大切なこと言い忘れてたんだけどさ」


「な、なんだ?」


「涼くんがこれからどうするかって話」


「ああ、もちろん新しい職を探すつもりだが……」


「何かやりたいこととかあるの?」


「いや、現時点では何も考えてない……これから考える」


なんせ急にクビにされたからな。そんないきなり次の仕事決まらないよ。

彼女にフラれた傷も癒えてないし今すぐ新しい生き方を決めるというのは難しいが、できる限り早く再就職しなくてはならない。



ってことでいいんだね?」


「ああ、そうだ。すべて失ったから」


俺が守りたかったものは雲母だけだった。雲母を失った今、俺は抜け殻で空っぽだ。



「そんな涼くんにとってもいい話があるんだけど」


「…………なんだ?」


なんかすごくイヤな予感がするが一応話はちゃんと聞こうじゃないか。



「涼くん、もしよかったら私のペットになってみない?」



……はぁ……?

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