2.幸せなふたり

p9

全てを終わらせて、夫の元へくはずだった。


「美亜。」


突然、彼女の耳に夫の優しい声が響いたのだ。


美亜は顔を上げる。その目に映るのは、眼鏡をかけスーツを着た優しい夫。


「ただいま。遅くなってすまない。」


幸紘ゆきひろはそう言うと、美亜を優しく抱きしめた。


彼女の手から包丁が落ち、未遂で終わった。


「幸紘、帰って来てくれたのね…?」


涙で視界はゆがむ。


幸紘の声・匂い・温もりが彼女に安心を与え、壊れた心は修復していく。


「夜はハンバーグよ。貴方好きでしょう?」


晩ご飯の準備をして、庭の椅子に2人座った。


「「いただきます。」」


帰って来た夫と久しぶりのご飯。


「美亜の料理は本当に美味しいよ。いつもありがとう。そう言えば、お花はどうしちゃったの?」

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