カレンside
カレンside
「───────」
「…」
「──────────」
「うん。分かった」
カレンは小さい頃から、親の顔と声が無いように隠されていた。
口を開いているのかも分からないけど、耳がウンザリするような音で何か言っていることは分かった。
他の人達はそうではなかったが、目が光っているような、ギラギラとした針のある視線が自身の胸や尻に注がれている事が気持ち悪かった。
だが、ユウタはそうでなかった。
何処か心を覗いてくるような、
でも優しく奥には入り過ぎないようにしてくれる。
カレンはそんな彼の事が好きだった。
が、ある日ソルフおじさんに性的に襲われた。
抵抗しようにも出来なかった。
いずれかは、自身の体を預けていた。
何故、抵抗出来なかったのか。
それは、カレンの優しさにあった。
それに、カレンも誰かの愛を求めていた。
それが例え、歪んだ愛でも。
翌日、カレンの事をソルフおじさんとニヤカト兄さんは炎のようにそれを広めた。
ハナタおばさんは、重圧をかけるかのように、カレンに嫌味を言い続けた。
カレンは耐えた。
だが、ユウタに会い、無理やりにでも自分の気持ちを聞こうとしなかったユウタに対し、怒りが沸いた。
そうだと、思い返した。
ユウタはこういう人間である。
大事な時に1歩を踏み出そうとしない。
それを分かった瞬間もう、どうでも良くなった。
カレンはナイフを持った。
瞬間、ナイフに炎が灯る。
あぁ、自分にはこんな才能があったのか。
カレンは、村を燃やして、潰して、溶かして、
無くして…。
カレンは、気づいたら好きな人の手の中で死んでいた。
今までの行動は黒い灰のせいで心まで黒く染まっていたからだ。
カレンは最期に願う。
どうか、どうか、
自分を、苦しめた人達がずっと苦しい運命を背負うように。
神様はどうやらカレンの願いを叶えたらしい。
だが、その苦しめた人達の中にユウタが入っていることは知らなかった。
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